Фестиваль возрождения
皺一つない真新しい軍服のベルトを締めた。モスグリーンの落ち着いた色合いは、祖国の慣れ親しんだ旧軍服を思い出させた。
この冬からソ連の将校になる。
GRUのヴォルギン大佐に誘われてのことだった。
牢に入れられていた10年間で、漸く自分の性を知った。戦うことでしか、生を実感できない。
奴らは何故己を生かした?鏡越しに黄金の双眼を睨みつけた。目付きも何もかも10年前と変わらない。白髪も皺の1本も増えていない、齢38になる男とは思えない顔だった。
「ローデリッヒ、私だ。入るぞ」
「ああ...ヴォルギン大佐」
「久しいが...あのときと変わらんな」
「お久しぶりです。この度はお誘い頂き、感謝しております」
「気にするな...」
男の視線が、足元から這い上がる。
そして、焦点の吻合。
「似合っているぞ」
その一言に、軽蔑が湛えられていたのは確かだろう。
「ありがとうございます」
だが、何も感じなかった。
男は、寧ろ満足そうに笑った。
「ようこそ、GRUへ」
Fest der Wiedergeburt(リバイバル・フェスティバル)
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