「手を貸す...だと?」
「ああ」
「何故...何が目的だ」
「言ったであろう。貴様が気に入ったのだ」
「...では、お前にはなんの取り柄がある」
「ふむ」
異形は、ちらりと襖の方に目をやった。
「まあ見よ」
その言葉と同時に、襖が遠慮がちに開いていく。何をする気なのか、果心がそちらに左手を向けた。
「...あの...松永様...?...うぐっ!?」
従者の声だった。もがき苦しみ、やがてばたりと、その場に倒れた。この異形が、何かしたのだろう。
「死んだ」
男はこちらを見据え、はっきりとそう言った。
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