曹レイ独白

肌は熱く、頭は重い。日差しが僅かに差し込み、埃を星屑に見立て、床を一閃している。その様子を讃える言葉を編もうにも、日頃川のように流れ出すそれは、熱病に浮かされて干上がってしまった。
私は病にかかるとこう考えるのだ。なぜ人は苦しんでまで生きるのだ、と。病という、特別な苦しみの中で、改めてそう考えるのだ。あらゆる苦痛が跋扈し、その先に死しかないこの世で、なんの為に生きるか。
弟の計らいで、女官たちが食事や水を枕元に持ってくる。
それは、義務感から、命じられたからという理由を以って成立する行為であるが、私はそこに「愛情」を感じるのだ。それは同情や憐れみというよりも、精神的・思想的母性に近い。
ああ、風の音と共に、女官たちの雑談がぼやけた部屋に吹き込んでくる。その有無の間の安心感にいよいよ瞼は落ちていく。生きようじゃないか、その苦しみのなかで。母のように包みこむ熱病に身を沈めた。
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テーマ「人外ファンタジー」
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