ダン戦 | ナノ

( コウタとアキト )


可愛らしい外観のケーキバイキングにてぱくりぱくりと目の前の人物の口の中に次々と放り込まれていくこれまた可愛らしいケーキの数にコウタはげんなりとした表情を浮かべた。
別にコウタはケーキが嫌いな訳ではないし甘いものが嫌いな訳でもない。
糖分は頭の働きを助けるし、体の疲れにもいい。
メカニックとして頭を働かせるコウタにとって糖分摂取は好ましい行為とも言える。
しかしながら、ケーキバイキングにきてまでケーキが食べたいかと聞かれればそこまするほど好きではないからお断りしたいし、ケーキバイキングにきたとしても、一つ二つと数えられる数しかケーキを食べない。
だからだろうか、目の前で次々にケーキを口に詰め込む人物、谷下 アキトの食べっぷりにはげんなりとして仕舞う。


「はぁ、…よくも、まぁ、んなに食べれるな、…アキトは」

「うん?…んー、…そう?」


手を休めながらため息まじりに言うコウタの言葉にアキトは口をもぐもぐと動かしながら曖昧に返事を返した。
コウタはアキトの返事の曖昧さに呆れたように笑うと美味いか?とアキトに尋ねる。
アキトはコウタの問いにぱっと表情を明るくしてにっこりと笑うと口を開いた。


「あぁ、美味しい!すごく美味しい!」


お日さまのように明るい笑顔と声のトーンでそう言うとアキトは今、食べていた苺の乗った可愛らしいケーキに再びフォークを入れてきりとり、コウタの口元に運んだ。


「コウタも食べてみろよ!これ、美味しいから!」


コウタはアキトの言葉にあー、だの、んー、だとの気怠げな声を上げてから自身の体をテーブルを挟んだ向こう側にいるアキトに顔が届くように身を乗り出すとアキトの唇についていたホイップと苺ソースを舐めとり一瞬だけにやりと笑う。
同時にアキトの顔はみるみるうちに赤く染まっていった。


「…っ!?」

「あー、ほんとだ。確かに美味いな」


真っ赤になって両手で口元を覆うアキトを後目に相変わらず気怠げにコウタは言い、何事もなかったかのように自身が食べていたケーキにフォークを差し込んだ。


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