(バッツとスコールとジタン)
あいつらは友人と呼べると思う。
愛用武器のガンブレードの手入れをしながらスコールは一人静かに考えていた。
この世界で出会った仲間達は戦力面でも精神面でも強く背中を任せられる者ばかりだった。
スコールが元々居た世界で道を共にしてきたようなあの仲間たちと近しいものを感じる。
だがあいつらは、違う。
バッツとジタン。彼らはスコールが未だ接したことのない人物だった。
スコールが人に対して張る壁は、彼を守ってはくれたがその反面彼を独りにもさせた。
安定感をもたらした代わりに孤独感を与えた。
その壁を彼らはいとも容易く乗り越えてくる。
どんなに高く硬い壁を積み上げたってそれを壊してはスコールを引っ張り出す。
いつの間にかスコールは壁を築くことも忘れていた。
自然な表情が出来るようになった自分に気ついた。
口にはしないがそんな自分が、そんな関係が、スコールは嫌じゃなかった。
「あ、いたいた!スコール!」
「なにしてんだ?」
声を掛けられスコールが顔を上げればそこにあったのはバッツとジタンの姿。
噂をすればなんとやら、と言うヤツか。
「見てわからないのか?」
「武器の手入れ?」
「ああ、そうだ」
「やっぱその武器恰好いいよな!」
「そうか?」
「ああ!」
スコールにじゃれつくなバッツとジタン。
他愛のない会話。
だか、じゃれつくような二人やその他愛もない会話がスコールを優しくした。
スコールの孤独をぬぐった。
きっとこれが幸せなんだ。
とスコールが心の中でつぶやいた言葉がバッツとジタンに聞こえる事はなかった。