※大学パロ
(勘右衛門と八左ヱ門)
勘右衛門は頗る飽き性だと八左ヱ門は思う。
飴を舐めはじめたかと思いきや直ぐ様、噛み砕き、ガムを噛みはじめたかと思いきやそうそうに包み紙に吐き出しては捨て、煙草を吸いはじめたかと思いきや二回、三回吸って吐いて吸い殻入れにぽいっと捨てる、終いには今日と昨日で隣を歩く女の子まで違うだなんて、飽き性にも程がある。
だが、しかし、ここまで飽き性な勘右衛門を飽きさせないものなどあるのだろうかと聞かれれば、ない訳でもない。
例えば、勘右衛門の友人である八左ヱ門だとか、雷蔵だとか、三郎だとか、勘右衛門が想いを寄せる久々知だとかそう言った同性に対する飽きはない。
つまり、勘右衛門は所謂、同性愛好者なのだ。
同性愛好者なのに何故、異性と付き合うのかは不明だが、本人曰は「女の子に告白されたら断れない」とかなんとか。
女の子にって付ける辺りが意味深だ。
「勘右衛門!」
「ん?」
「また、昨日の女の子と別れたんだってな」
「うん」
「昨日の女の子、泣いてたよ」
「そう」
「今日の女の子は笑ってた」
「うん」
「なぁ、別れるくらいなら告白を断った方がいいんじゃないか」
「告白を断るなんて可哀想で出来ないよ」
「でも別れを告げられるのも可哀想だ」
眉をひそめる勘右衛門に同じく眉をひそめて八左ヱ門が言う。
すると勘右衛門はひそめていた眉をはの時にして笑った。
「そうだな。でも、俺は飽き性なんだ。だから、ごめんね」
そう言って更に笑みを深める勘右衛門は飽き性な上に優しそうで穏やかそうなのに残酷な酷い奴。