※現代学パロ
※女体化
(仙蔵と伊作)
ピンク色の大きなリボンで束ねられたポニーテイルをふんふんと鼻歌に合わせて揺らしながら伊作はまな板の上で包丁を踊らせチョコレイトを細かく砕く。
とんとんとリズミカルな音が伊作の鼻歌と混ざりなんとも耳に心地いい。
伊作の隣では仙蔵が紫色のシュシュで束ねられたサイドテイルを肩に垂らし、伊作の作業を覗き込んでいる。
「なぁ、伊作」
「なぁに?」
「そのチョコレイトを砕いて、次はどうするんだ?」
「湯銭で溶かすの」
「ゆせん?」
「うん、湯銭」
首をかしげる仙蔵にふふっと笑みを溢すと、伊作はコンロの上に用意しておいた水の入った鍋を火にかけた。
そして、先程までの作業に戻る。
コンロの上の鍋の水が湯へと変わった頃にはチョコレイトが程好く砕けていた。
伊作は砕いたチョコレイトをボールに入れ、そのボールを湯の上に浮かせ湯銭をはじめる。
「これが湯銭なのか?」
「うん。これが湯銭だよ」
成る程なとうなずく仙蔵に伊作は再び笑みを溢す。
「チョコレイトを溶かしたらそのシリコンで出来た型に流し込んで固めたらお仕舞い」
「ならばもう少しで終わるのだな」
「うん。あ、でも、チョコレイトを型に流し込むくらいは仙蔵もやってね」
「え?」
「え?じゃないの。文次郎にあげるんでしょう」
シリコンで出来た型をぐにぐにと曲げながら首をかしげる仙蔵に伊作は僕は留さんにあげる分しか作らないよと続ける。
「嫌だ。私のも伊作がやってくれ。私には無理だ」
「だーめ。無理でもやるの」
「でも、」
「いいかい、仙蔵。どんなに綺麗でも僕が作っちゃ意味ないんだ。でも、どんなにぐちゃぐちゃでも仙蔵が作ればそれは意味がある。だから、仙蔵もやろうよ」
ね?と伊作が言うと仙蔵はばつが悪そうにうつ向きながらも、んっと短く言いうなずいた。
仙蔵がうなずいたのを確認した伊作は本日、何回目かも知れない笑みを溢し、程好く溶けたチョコレイトを二つにわけ、一つを仙蔵に手渡し、手に残ったもう一つをシリコンで出来た型に流しはじめた。
「来年は最初から最後まで自分一人でやるんだよ?」
「それは無理だ」
「…もう、」
仕方ないなぁと伊作は笑う。
仙蔵もつられて笑う。
さぁ、二人がピンク色の大きなリボンで束ねられたポニーテイルと紫色のシュシュで束ねられたサイドテイルを大きく揺らして愛する彼らの元に走るまで後、一時間。
それまではもう少しだけここで笑わせて。