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虎若は団蔵の様子がなんだか変だと思い、団蔵の後を追った。
どうしたの?と虎若が声を掛けると、余りに考え事に熱中していたのか団蔵は驚いたが、すぐに安心したように息を吐いた。


「なんだ、虎若か」

「なんだはないだろ」

「ごめん」


団蔵は少し笑いそれからなぁ、虎若と思い詰めたような声で漏らした。


「俺、潮江先輩が好きになっちゃったんだ。でも、立花先輩も潮江先輩が好きみたいで、…俺、どうしたらいいのかな?」


虎若は吐露された想いに吃驚したけれど、団蔵を茶化すことなんて出来なかっ。
駆け出したのは宣戦布告の為。
無我夢中で走る事、数十分、目の前に二つの影が現れる。
団蔵は影だけでその人物らが誰なのか理解した。
文次郎と仙蔵だ。
団蔵は文次郎と仙蔵だと言う確認してからぴたりと足を止めた。
そして、すうっと大きく息を吸う。


「立花先輩!」


団蔵が大きな声で名前を叫べば仙蔵は驚きもせずにくるりと振り返った。
その様子に自分に気付いていたのたと内心舌打ちをする。
それと同時に流石は六年生だと感心もした。
団蔵は再び、すうっと大きく息を吸う。


「俺、負けません!負けませんから!立花先輩には負けませーん!」


と、息が切れる程に大きな声で団蔵が叫べば今度は驚いたように仙蔵は目を見開く。
しかし、すぐにふっと不適な笑みを浮かべる。
そして、大人の落ち着きを感じさせるそれでいて挑発的な口調で仙蔵は言い放った。


「ふっ、…望む処だ!」


互いの宣戦布告は済んだ。
後は己の魅力と実力次第。


(立花先輩には、)
(団蔵には、)


「「負け(ませ)ん!」」


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