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※転生パロ

(文次郎と仙蔵)


私が立っている場所からは綺麗な綺麗な空が見えた。

校庭が見渡せる。
その先のなんでもない道も家も全部いつも見るより小さくなって私の目に映る。

足下はただのコンクリート。
真下もコンクリートで飛び降りて頭を打ち付けたら血が沢山出て死んで仕舞うだろう。

そうしたら、死んで、仕舞ったら。
もうこの世とはさよならだ。
お仕舞いだ。

(つまらない)

こんなにつまらない世の中なら、捨ててしまっても構わない。


(文次郎)

(お前が居たら)

(きっとこのつまらない世の中でも生きていけただろうに)

(今まで、待って来たのに)

(生まれ変わる前の卒業式のあの日、必ず迎えに行くって行ったのに)

(結局、生まれ変わる前も生まれ変わった今も迎えに来てくれないじゃないか)

(あれは、…嘘?)


足はコンクリートギリギリの所、でもフェンスを握っている手を離したら真下のコンクリートにまっさかさま。


(さよなら)


フェンスから手を離そうとした。
その瞬間に。


「危ない!」


背後から声が聞こえた。


「駄目だ!手を離すな!絶対に手を離すなよ!」

「…五月蝿い」


後ろを振り向かずただ空だけを見ていた。


「遅い。遅いぞ、…文次郎」

「待たせてすまん。すまんかった。…ようやく迎えに来れた」

「…」

「なぁ、仙蔵。そろそろ、こっち向をいてくれねェか?」

「少し、…待ってくれ」


この涙が、止まるまで。


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