自由倉庫 Freiheit ::○○しないと出られない部屋(断章の羽根) 【相手に歯形を10個付けるまで出られない部屋に閉じ込められました】 「じゃあ、私を噛んでもらっていいですか」 「……いいのか」 「兵長の身体を噛むわけにはいかないので」 私はジャケットを脱いで、シャツを肘まで捲り上げる。 「両腕に各五ヶ所、合計十ヶ所。――これで出られるはずなので、お願いします」 「わかった。……行くぞ」 「はい」 早速がぶりと歯を立てられた。痛いけれど我慢できないほどじゃない。ちゃんと加減をしてくれている。 すぐに右腕、左腕へひとつずつ歯形がついた。まだ肌が空いている場所に噛まれるのを待っていると、兵長が顔を離した。 「どうされました?」 「……別の場所がいい」 言葉の意味を理解するのに数秒かかった。 「え、えええ?」 私が戸惑っても兵長の態度は変わらない。 「あの、そんな、ここから出ることを先決としている以上、噛む場所を選り好みしている場合では……」 「だめなのか」 「ええと、その……どこがいいんですか」 「首筋」 「く、首はだめです。ここから出られた時に周りに隠せません」 「太もも」 「ふ、ともも……!?」 どうしよう、ここから出られるのかものすごく不安になってきた。 ----- 一回やってみたかったんですよね、ということで『○○しないと出られない部屋』のお話でした。ありがとうございます診断メーカーさま。 さあ残り八ヶ所、どこに兵長の歯形をつけてもらいましょうか! back ×
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