自由倉庫 Freiheit ::あなたの熱があればいい-その後の一幕-(わたしの王子様第5話) 唐突に目を覚ました。 身体を起こしても、特に不調は感じない。 「よかった……」 遭難した時はどうなることかと思ったけれど、ベルトルトとライナーのおかげで大事に至ることはなかったらしい。 まだ真夜中だけど、外の空気を吸いたくなって防寒具を着てから部屋を出て小屋の入口へ向かえば、 「――ベルトルト?」 大好きな人がいた。他にもライナーとマルコ、いつも一緒のエレンたち三人、サシャとコニーもいた。 「どうしたの、みんな揃って」 話を聞けば、クリスタとユミル、ダズの三人がまだ基地へたどり着いていないため、間違いなく遭難しているということだった。彼らを捜索、救助するために自然と集まったらしい。 「じゃあわたしも行くっ。人数は多い方がいいと思うし」 「ちょ、ちょっと待って!」 全力でマルコに止められた。 「ええと、君はここにいた方がいいと思うんだ。その、せっかく回復したのに身体の調子が悪くなると明日からの訓練に支障が出るし」 「わたしの身体ならもう大丈夫だよ、マルコ」 するとエレンが呆れたように、 「違えよ、マルコが言いたいのは『さっき遭難したヤツをまた雪山へ行かせたら次も遭難するのは明らかだ』ってことだろ。被害増やしてどうするんだよ」 「う……」 なるほど、そういうことか。一理どころか二理もある。ん? 二理って言葉はないのかな? どうなんだろう。 「で、でも、遭難した人のことは遭難したわたしにしかわからないかもしれないよ?」 思いつくままに言えば、ちょっと納得された。 もう一押しだと思って、ベルトルトの腕にぎゅっとしがみつく。 「それにほら、ベルトルトにくっついてたら絶対わたし遭難しないし! 一ミリたりとも離れないし!」 「目的変わってんじゃねーか!」 ライナー、エレン、コニーに怒鳴られたその時、小屋にぶつかる風の音が変わった。 何となく全員で顔を見合わせて、外へ出る。 まず、遠くに影が見えた。段々と近付いてきたのが誰かわかって、私は名前を呼ぶ。 「おーい! ユーミル―!」 わたしが大きく手を振れば、彼女は顔を上げた。そして疲れた様子で、それでも片手を挙げて応えてくれた。 ----- アニメseason2の第五話を見ながら。 アニオリで雪山訓練がしっかり描かれていたので書きたくなりました…! OVAの「困難」のラストシーンを見て以降マルコを見るといつも、彼の存在が尊いなと思います……。 あと夢主とユミルの距離感が個人的に好きだったり。お互い大事な人を超優先しているので、何かあればお互いを切り捨てられるけど、それをお互い分かっているからこそそれなりに仲が良いというか何というか。 back ×
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