自由倉庫 Freiheit ::Sturm und Drang-理性に対する感情の優越(断章の羽根) 「あなたね! リヴァイ兵士長に紅茶を淹れ部屋の掃除を行う使用人風情が! 図々しい上に馴れ馴れしいわ! 兵士は兵士らしく訓練に汗水たらして人類のために壁の外で死ねばいいのよ!」 給湯室でこれから使う茶器を磨いていると、すらりとした女性がやって来た。綺麗な服を着ているのでどこかのご令嬢かもしれない。 「すみませんがどちら様でしょうか」 私が訊ねれば「あなたに呼んでもらう程落ちぶれた名前じゃないわ」と言われてしまった。困った。仕方がないので見た目で判断してお嬢様と呼ぶしかない。 「ねえ今言ったことを聞いていたの? 私の言葉がわかる? あなたに耳はないのかしら? 私がやるからここからさっさと出て行きなさいよ!」 ひったくるように茶器一式が奪われたので、私は慌てて給湯室を出た。 「――ということが十五分前にあったんだけど」 「ちょっと何それ! 怒りなさいよ!」 ペトラが激怒した。 「この上なく自信満々な人を前にしたら自分が間違っているような気分にならない?」 私は食堂でペトラが淹れてくれたお茶を飲む。おいしい。心があたたかくなる。 「うーん、その気持ちもわからなくはないけど」 ペトラもお茶を口にして、一息ついた。 周りには誰もいない、静かな空間だった。 「確かに兵士らしくないかな、とは思うよ。掃除とか洗濯とか物心ついた時からやっていたとはいえ――」 「気にしちゃ駄目! 掃除洗濯は体力が鍛えられると共に繊細さが求められて食事を作るのだって基本の上で成り立つ応用力と臨機応変さが養われるんだから! あああ私が苛々する! どう考えてもこっちは間違ってない! そんな風に言われて訴えても良いわよ!」 ばしんと机を叩くペトラに私は慌てて首を振る。 「だめだよ、仮にも出資者のお嬢様相手に」 「あ、そうだ。確かリヴァイ兵長がその人のお相手するんだっけ?」 「多分。その人が兵長へ紅茶淹れるために私は追い出されたわけだし」 「今日の予定に出資関係があったし間違いなさそうね。ぎゃふんと言わせてくれたらいいんだけれど――」 その時だった。 「ぎゃぁあああああああ!」 ゲルガーさんの悲鳴が本部に響いた。 ----- 続きが浮かばないのでここまで。タイトルみたいなテーマはあったけれど力及ばず。 冒頭のお嬢様による夢主悪口とかペトラとのやり取り気に入ってたのですが。 何があったんだゲルガーさん。 back ×
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