自由倉庫
Freiheit


::新兵一年目編J

 頬をさすりながら地下書庫を出て通路を歩いていると男女二人組とすれ違う。

「だから、もう勝手にあんなことしないでよね」
「うるせえなあ。わかった、わかったって」

 何を言い争っているのかと思ったが、違う。彼らは気の置けない仲らしく、単に会話をしているだけだった。

 いいなあ。

 その関係を羨ましく思いながら私は自室へ戻って着替え、ベッドへふて寝した。




「わかったわかったって言ってるけど本当にわかってる? 今度お父さんが面会に来た時はもうこんなことしないで」
「ったく、お前が親父さんから解放されずに困ってたから適当に用事でっち上げて連れ出してやったんだろうが。感謝こそすれ恨まれる謂われはねえよ」
「はあ……。まあ、いいわよ。お礼も言っとく。ありがと」
「……おう」
「それより、さっきすれ違った子よね? 新兵なのに分隊長の班に選出されたのって」
「あ? すれ違ったか? 気づかなかったが……確かやたら小せえんだろ? 選ばれるほどの技量を持ってるとは思えねえな」
「オルオ、嫉妬してるんだ?」
「俺はいつかリヴァイ兵士長の班へ選ばれる男だぞ。あんなヤツはライバルじゃねえよ」
「いや、相手はすでに遥か高みへいるんだけど……そもそもそんなエリート出世があんたに出来るの?」
「じゃあペトラ、お前はどうなんだよ」
「うーん、そうねえ……まず今は――」
「何だよ」
「さっきすれ違ったあの子と、友達になりたいかな」

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新兵一年目編後半戦開始!
ペトラとオルオの会話でした!やっぱり好きだなあ、この二人……。

彼らとは出身の訓練兵団は違えど夢主と同じ時期に調査兵団へ入団していたらいいなと。
 

2015.08.17 (Mon) 20:20
新兵一年目編(長編設定)|comment(0)

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