あとがき(やたらとながい)
跡部と手塚とリョーマ♀のみつどもえ

▼1話の忍足がなぜ全面に出てきたか
完璧に私のミスでした。
正直にいうと、私はプロットを立てないで行き当たりばったりで書くことが多く、だいたい1話を書いたらラストはこうしよう!とかしか決めていません。
だから本当はリョ受けの攻めに忍足を出す予定だったんですが、出せなかったもので……。
そのあとの9話でもわざわざ忍足が出てきたのかも、名残です。
忍(侑)リョも書きたいなーと思ってこの小説を書いていたので……。

▼1話の最後の神の子のせりふ
これも上とおなじように、幸リョもいれてみようと思っていたためのせりふでした。
気付いたら幸村を出せる展開にならなくて、このせりふの意味はまったくなくなっていました。
初対面で性別がわかるくらい神の子ってすごい!って意味で解釈しといてください。
すみません。

▼不二について
今回、不二はリョーマと手塚がそういうことをしているかもしれない、ということと、跡部とリョーマもなんらかの関係性をもっている、ということに勘付いていました。
それがセックスのことにせよ、ただの恋人関係ということにせよ、不二にはしゃべってもらいました。
なぜ不二だったかというと、やっぱり彼には話術がありそうなので、跡部にたいしても結構いけるんじゃないかなーということで、不二にこういう役回りになってもらいました。
これは自分で書いていてもおもったわけなんですが、はたしてこの不二は、どうしてあそこまで三人の関係について首をつっこもうとしていたのか?
サイトのほうではちょこっと言っていたと思いますが、この不二は手塚もリョーマもふたりとも大切に思っています。
手塚については、やっぱり中一からずっと一緒に歩んできたチームメイトであるし、テニスプレイヤーとしてもすごく興味深い相手。
友人だとも、ライバルだとも思っているからこそ、もし跡部が手塚が気にかけているリョーマにたいしてちょっかいをかけていたら、手塚が傷ついてしまうかもしれない、とおもって跡部にたいして牽制のような、さぐるような発言をしているわけです。
リョーマについては、女の子だとわかってからは以前よりも気にかけているかんじ。性別関係なく手塚同様にテニスプレイヤーとして興味深くて、後輩としてもかわいいとかは思っている。跡部と関係をもっているのも、手塚のためにはやめてほしいかなって感じ。
ふたりとも大切だから、ふたりが幸せにくっついてテニスしてたら不二にとっては問題なくて、満足。
あえて不二絡みでカップリングをいうなら、不二塚で不二リョだったとおもいます。
結局どっちも大好きだったから、ふたりに一緒にいてほしくて跡部はちょっと邪魔だったなーという感じです。

▼手塚について
このふたりはこのお話のなかでは、もう永遠にくっつかない両片思いのふたりです。
はじめこのおはなしを書いたときは、正直いって塚リョとかは書かない予定でした。前述でも言っている通り、他校リョメインのために合宿をもってきたようなものです。
けれど、行き当たりばったりゆえにそうそう上手くいかず、3話でなぜか塚リョのセックスを書くことに……。
女体化エロを書くのは好きなので、3話は書いてて筆が進んだわけですが、どうしてか切ない塚リョになってしまい…………。
切ない塚リョになってしまったわけは、この小説の題名にもあるわけですが(笑)
今回のおはなしはタイトルをかなり意識したと思います。タイトルの重ならない影は、リョーマがアメリカにいた頃にただれた関係にあった年上のテニスプレイヤー(何歳とかは明確に決めていませんが、二十前後の男性。南次郎の知り合いだったり、そんな感じ。とにかくテニスは強い人っていうのは絶対です。)と、手塚を比較してのこと…ってかんじです。
手塚に対していわゆる昔の男の影を追っていたために、リョーマは手塚のことがテニスプレイヤーとして以上に気になり始めてセックスをするにいたったわけです。
手塚もリョーマとするまでは普通に健全な中学生、自慰はしたりするかもしれないけどDTでした。DTです。そんな性にたいしてもなんらかの興味を示す中学三年生の手塚に、柔らかい女の子が圧し掛かってきたりしたらいくら真面目な手塚もはずみでしちゃったりしちゃうわけで……なんていうことでもなく、リョーマにたいしてテニスとは別で、女の子として恋愛対象で見ていたからしたわけです。まあ本人はこの時点では自分のきもちにまったく気づいていません。
手塚は部室ではじめてリョーマにしたあとに、謝っちゃったりしたわけですが、リョーマにとってはそれがすっごく嫌なことだったんです。リョーマは手塚としたことにたいして、後悔はしていないけど後々に悪かったとおもっている。けれどしたばかりの時点では後悔もなかったし、むしろその行為は嬉しいことだったんです。だから謝られたときは悲しかったし、傷ついてしまった。手塚も自分と同じ気持ちかもしれない、と思っていたのが間違いだったと気付かされたようなものなんです。
リョーマが12話で手塚にたいして関係を絶つことと謝罪を告げたときも、手塚はリョーマのことは好きでした。けど、リョーマとしてしまったことにたいしての罪悪感、跡部とリョーマがしていることがあったかもしれないという疑念、そしてなにより恋愛に関して不器用で、自分の気持ちに気付けなかった手塚は結局一度も本当の気持ちをリョーマに伝えることはありませんでした。
きっと何年経っても手塚はリョーマのことを忘れたりしないんだろうな、と思います。もうそれは好きとかの域を超えているとおもいます。良い意味でも悪い意味でも。

▼跡部について
跡リョ……これはこの小説のメインにするつもりは最初はなかったです。リョ受け18禁エロ祭り!みたいなのをひとりでやるつもりだったので、ここまで跡部にスポットライトを当てるつもりはなかったわけですが……いつの間にかかなりキーパーソンになっていた気がします(笑)
この小説内では跡部サイドのおはなしはあまり書けなかったんですが、ネタバレすると、跡部はリョーマが青学に入学する前からリョーマのことを知っていました。
この小説の1話で、跡部が去年くらいから女癖が改善された〜という忍足の発言があるわけなんですが、これはリョーマの影響だったりします。
海外から氷帝にきた跡部は宍戸や忍足などとある程度の友好関係は築きながらも、常にわりと孤独でした。一種愛情に飢えていた跡部は、気晴らし含め、性に対して外国暮らしが長かったせいかかなり奔放です。そんな中、跡部はイギリス時代の知り合いからアメリカのジュニア大会で四連続優勝した日本人の十歳がいると聞きます。テニスに関して苦労した跡部は、その選手に興味を持ち、わざわざアメリカのその選手が出ている大会にまで足を運ぶわけですが、ここではじめてその選手が女子選手だと気付きます。
そのときの跡部の衝撃は、本当にすごいものだったとおもいます。自分よりも年下で、しかも女の子で、ここまでプレーをするやつがいるとは…!ってかんじです。
氷帝で跡部以上に強い人間がいなかったこと、他校との試合でも満足感を得られなかった跡部が、久しぶりに興奮した試合がリョーマの試合でした。手塚のプレーを見たときのような高揚感に、跡部はその選手と接触を図ろうとしたが、いつの間にかその選手はどこの大会にも出ていなくて、アメリカのテニス雑誌でもどこにも見かけなくなってしまう。
名前だけはわかっていたけれど、さすがに個人情報保護の壁が邪魔をして、越前リョーマという女子テニスプレイヤーを探し出すことはできずに一年が過ぎ跡部は中学三年生を迎えます。
もうその頃にはリョーマというプレイヤーのことは気にならなくなってきて、たまに数年前のテニス雑誌を見て「会えたらよかったけどな」くらいに思っていて、夏の都大会くらいにはもう手塚のほうに興味は向かってます。
けれど、大会前のストリートテニス場で偶然越前リョーマに似た同姓同名の男子テニス部に所属する越前リョーマを見つけて、跡部は一年前のことをはっきりと思い出し、また必死にありとあらゆる人脈をつかってそのふたりがまったくの同一人物であり、リョーマが性別を偽って男子テニス部に所属しているということがわかります。
4話でシャワールームで見た、とか言っている跡部の発言はちょっと嘘です。確かにシャワールームでふたりがなにかしているのは見たのだけれど、リョーマが本当は女だと知っているのは以前からだったということです。
ようするに、リョーマにとって跡部はほとんど知らない氷帝の部長だったけれど、跡部にとってのリョーマは手塚ぐらいに興味深い相手で、以前から気になっていた存在というわけです。
その気になっているというのは、手塚とは違って自分でも恋愛感情として自覚しています。
だからこそ手塚とリョーマの濡れ場を見たときはショックであったし、なぜあそこにるのが自分ではなく手塚なんだろう、とかも思っちゃってます。4話の脅しで6話でやってしまったりしたのは、リョーマにとっては跡部の遊びかもしれないけど、跡部にとっては本気の行為だったというわけです。
けど、リョーマはそんなこと微塵も知らないし、跡部も全然伝えるつもりはなかったんです。リョーマが混乱するのは好ましくなかったし、リョーマが手塚のことを好きだというのは跡部は察していたからです。
11話で跡部の「お前のテニスは嫌いじゃない」発言は裏を返せば好き発言で、13話では「お前のテニスも好きだ」に変わってます。これは要するに、「(お前のことも)お前のテニスも好きだ」って跡部のなかではなっているわけなんですが、もちろんリョーマにはちょっと引っかかるくらいで別に伝わってません。跡部もはっきりというつもりはないし、それでいいって感じです。ほかのことではやけに偉そうで強引なのにここではなぜか謙虚な跡部。不思議ですね。
終わりの方の跡部とリョーマが会うことはなかったっていうおはなしですが、これは別に跡部が避けていたとかじゃなくて、本当に偶然にも会えないが重なっています。人との巡り合わせって不思議だよね!っていう意味をこめて書いたつもりですけど全然伝わりませんよね。文才がないので…だからここで長々と説明してるんですけど、最後まで見てくださるとうれしいです。
とにかく、跡部はずっとリョーマのことをおもっていたけれど、リョーマは結局そのことに気づくことはなかったというのが書きたかったでした。
けどそれをはっきりと明記するのもなんだかなーとおもってここで書くことにしました。小説のなかで跡部は嫉妬しまくっています、きっと。
最後はハッピーエンドじゃないように見えますが、まあその後はまた書くかもしれないですし、書かないかもしれません。跡部とリョーマはこのまま出会わずに終わった方がいいような気もします。
跡部自身もリョーマに当時からの自分の気持を知られてしまうことは恥ずかしいし、その気持ちにリョーマに受け入れてほしいことが優先事項ではないということです。
手塚同様、もしくはそれ以上に跡部はリョーマのことが好きです。リョーマが知らなくても。

▼リョーマについて
淫乱ビッチとかじゃないです。そんなんじゃないです。
アメリカで年齢にしてはドライすぎる関係をもって性体験をしてしまった女の子です。初体験の相手のことは、もう過去の男で好きでもなんでもないんですが、好きになる相手がこのひとが基準になっているような…ということには本人ももう気付いています。
初めにも言いましたが、彼女は決してビッチで尻軽とかじゃないです。6話の跡部とのセックスについては別に乗り気じゃないですし、手塚とのこともあってアメリカに行ってもセックスとかはほとんどしていません。一種の恐怖症のようにもなってしまったのかも。
手塚のことを誘って襲い受けしたのは、自分でも気付いてないけど手塚のことが好きだったからです。アメリカでの性体験が、好き=セックスで伝える、みたいなちょっとちがう考えを持ってしまって、まだ付き合ってもいない手塚にたいしていたしちゃったわけです。
基本的に、リョーマは自由人で束縛されることとかはきらい。だから3話でも手塚を誘ったし、不二に聞かれても正直に言うことはなかった。
そしてなにより一番書きたかったのは、リョーマは実は父親の南次郎のことが大好きだ、ということです。
?とか思うかもしれませんが、なぜリョーマのはじめての相手が年上の強いテニスプレイヤーかというと、それは父親のことを重ねているからです。
父親が自分が男じゃないことにたいしてリョーマは失望しているとおもっているし、だから日本では男装もしてしまったし、普段の言葉づかいが男の子のようになってしまったわけです。
はっきりと愛情を示さない南次郎に、すこしだけ愛情に飢えていたリョーマと、そんなときにあらわれたアメリカでの年上のテニスプレイヤー。父親に愛情を求める代わりに、リョーマは他人にたいしてセックスを通じての生身の愛情を求めていたんです。
跡部に対しては、はじめはなーんにもおもってませんでした。「なにこのくそ偉そうな男。むかつく」くらいのかんじです。
あえていうならテニスはしてみたいかなってくらい。
けど、跡部の言葉とか、意外にも真剣な態度に、その考えも改め「まあちょっと見直した。結構良いやつじゃん?」くらいのかんじです。ようは高感度あっぷ!!!
最終的にはかなり気になる存在になったわけですが、このことと恋愛感情はまた別。リョーマが一度会って話したい、とおもうのは好きだからとかそういうものとはまったく別のとこから来ています。

まとめて言えば、跡部はリョーマがすきだったけど伝えることはなくて、リョーマは手塚のことが好きだったけど伝え方を間違って、手塚はリョーマのことが好きだったけど自力で気付くことはなかったていうことです。
もしかしたらリョーマが全米オープンに出るのをやめたりしたら、また違った結果になっていたかもしれませんがそれはなかったルートなので……。
このシリーズはもともとはじめに書いた通り、「女体化リョーマ受け18禁祭り」だったので、こういうちょっと暗い?はなしになるのは予定外でした。むしろエロギャグにしようと思っていました。
本編ふくめ、あとがきも非常に読みづらい文章だったとおもいますが、ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。
今度は幸せなおはなしを書いてみたいなっておもってます。

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