首輪の紐がほどけてる アナザー
義理?の兄弟で赤黒
赤司くん(16才)と黒子くん(28才)です
何を読んでも石は投げないでください

◇ifみたいなアナザーverです。
本当はこっちの予定だったんですが、バッドエンドっぽいのはふさわしくないかな〜と思ったのでやめました。
そういうの大丈夫な方は次のページからどうぞ。なんでも大丈夫!な方向け!

◇だいたいのあらすじ↓
前の話のラストで黒子くんは赤司くんを叔父の養子として引き取ってもらうことにして黒子姓に変えることを検討
一か月か二週間か家に帰らない黒子くんそんな中赤司くんはやきもきするけど兄の帰りを信じて待つ
そして黒子くんが帰宅のとき、赤司くんは兄の口から「養子に行きなさい」と言われます
赤司くんは黒子くんの叔父に正式に養子として迎えいられる予定だったんだけど、
赤司くんは自分の持つ相続権など財産などもろもろ(わからんごめん)放棄して屋敷を出ようとしていた黒子くんのところまで駆けつける
屋敷を出たらもう二度とけじめとして赤司くんには会わないようにしようとしていた黒子くんもこれにはさすがに動揺
なんでこんな時間に、とか叔父や親せきからの電話の嵐が発生…
赤司くんは黒子くんに「一緒にいてほしい、ずっと」みたいなことを言う
黒子くんは赤司くんの真剣なまなざしとどう考えてもイケメンな面にあうあうなっておろおろ
嬉しいけどダメみたいな
そしてとりあえず今日中に屋敷を出ることをあきらめる黒子くん
赤司くんは兄は信用ならんとばかりに一緒の部屋でおねむ
なにもえろいことは起きずに朝を迎えて、赤司くんは再度黒子くんに告白
そして黒子くんも想いを告げてハッピーエンド…と思いきや
やっぱり黒子くんの心の闇は重し、赤司くんに学校行ってきなさい、と言って安心させておきながら屋敷の使用人を全員やめさせ執事も解雇
けど一応次の勤務先への手配はしておわる
執事はやめさせるけど、代わりに赤司くんとともに叔父の家に行けと命令
そしてあっという間にもぬけの殻と化した屋敷
この時点でまだお昼(頭おかしい展開にもほどがある)部活も終えて学校から帰ろうとしていた幸せ赤司くんは校門前にリムジンがとまっているのを目にする
なに!!!?!?!?!兄さんお迎え!!!!!??とかちょっとかわいい妄想しながら近づくと出てきたのは叔父と執事
えっと思いつつすぐに黒子くんの裏切りを認識する

◇こっから小説です
引き留めようとする叔父を振り払って征十郎は駆け抜けた。少しばかり距離のある道程も、いま頭に過る兄の顔を思い浮かべれば気にならなかった。
それよりも征十郎にとっては兄のもとへ向かうことが大切だった。

屋敷に近づくと、屋敷のまわりが騒がしいことに気付いた。征十郎が慌てて見上げると、喧騒のなかで門の奥にある屋敷から煙があがっていることに気付いた。そう、屋敷の一部が燃え上がっていたのだ。
野次馬の群がるなか、それをかぎわけて門のなかへと征十郎は入り込んだ。人っ子一人見当たらない屋敷のようすでも、その中にテツヤがいることを征十郎は確信していた。そして、いま行かなければ二度とテツヤに会えないだろうということも。

征十郎は走った。すぐに屋敷の扉に手をかけると、なんと鍵はかかっていなかった。征十郎はそれにぎょっとしながらも、煙の立ち込める屋敷の中へと入った。
ごほごほとせき込みながら、煙を避けるため布を口元に当て、大声でテツヤの名前を呼びながら屋敷の中を走り回った。
そうしていると、一部だけ異常に燃えているところがあるところに気付いた。征十郎がほとんど足を運んだことはない場所だった。
慣れぬ廊下を走りながら、征十郎はその部屋を開けた。誰の部屋かなんの部屋かはわからなかったが、入って見ると、奥の椅子に座っているテツヤの姿を見つけた。

「テツヤっ……」
熱いと思いながらも、足を進めて瞼を伏せたテツヤへと駆け寄る。
なんと、テツヤは征十郎に穏やかに微笑みかけた。

「こんにちは、征十郎くん」
そのようすに、ぞくりと悪寒が走った。異常な光景だった。

「何してるんだ! 早くここから出ないと!」
まったくもって正しいことを言った征十郎に、テツヤは不思議そうに首を傾げた。
「どうしてでしょう。とても居心地が良いのに……」
征十郎は息が苦しかった。ここは屋敷の中でもかなり燃えている部分で、呼吸をするたびに煤と薄い酸素濃度のせいでひゅーひゅーと喉の奥が鳴るのがわかった。
それでもなんでもなさそうに座って口を開くテツヤの姿は異様だった。

「そういえば、君はどうしたんですか?」不思議そうに、まるで幼子が親に問うように言うテツヤに、征十郎はぼろっと涙が零れ落ちるのを感じた。
そして、言葉を紡ぐのが苦しいながらも言葉を紡ぎ出した。

「迎えに来た、あなたを」
その言葉に、テツヤは夢を見ているような頼りない口調で言う。
「どうして? …君はここにいるはずないのに」
そしてふふ、と笑みをもらした。そして再び顔を上げると、心底嬉しそうな笑みで笑いかけた。

「けど、うれしいです。僕はずっと、君といたかった」
そう言いながら、テツヤは立ち上がり征十郎を抱き寄せた。
耳元で、おっきくなりましたねえ、とか穏やかな口調でテツヤは口走る。そのテツヤの顔があんまりにも幸せそうで、こんな場面に似合わない穏やかな表情で笑いかけてくるものだから、征十郎は懐かしくて愛おしくて頷いてしまった。

「そうだよ、もうテツヤより大きいんだ。…僕は」
「そうですね、とってもかっこよくなりましたしね」
にこにこと笑みを浮かべるテツヤの姿に、征十郎は泣きそうになった。
相も変わらずまわりは熱いし、ここは呼吸もつらい。滲む汗がぽたりと落ちて、征十郎は苦しそうに呻いた。
すると、テツヤはふっと無表情になってから、今度は悲しそうに笑った。
「…本当はきみはここにおらず、僕だけが死ぬはずだったのに」
歌うような口調に、征十郎はかぶりを振って、テツヤの腕をつかんだ。
「一人で死なせたりしない。それに、僕たち、まだ両想いになったばかりだ」くすりと笑う征十郎に、テツヤは炎に身が焼かれそうだとか思いながら頷いた。
気付けば、もうどこにも逃げ場はなかった。げほっとせき込んで、テツヤは口を押さえた。

「もう、出られそうにもない」
その言葉に、テツヤはちらりと扉の方を見た。廊下は火の海だった。
ぼんやりと思考が覚束なくなりながら、テツヤは呟いた。

「ここ、母の使っていた部屋なんです」
「そして、母が自ら命を断った場所でもあるんです」
「この屋敷は母と父が結婚してから建てられたもの…いまは僕の家だったけど、忌まわしい場所であるのには変わらない」
「この屋敷とともに、僕も焼かれて死ねばいいと思った」

「だから、僕はこの屋敷に火をつけた」

そう言い切って、テツヤは床に倒れこんだ。テツヤ、と言いながら身体を抱き留めた征十郎は、苦しそうに顔を歪めたテツヤの顔を見つめる。

「君には……なんと言ったらいいか」
「謝らないでくれ」
テツヤは意識が遠のきそうになりながらも、自分を叱咤した。まだだ、まだ駄目だ。気を失ってはいけない。

「僕は君に嘘をついた。君を愛してると言いながら、離したくないと言いながら……養子に出そうと」
首を横に振って、征十郎は構わないと言った。
「もういい。もういいんだ。だって、もう僕は……テツヤと離れないでいられる」
廊下へとつながる扉が音を立てて倒れこんだ。それと同時に舞い上がる火の粉が、征十郎とテツヤに襲い掛かる。
熱さと痛みに呻いて、ふたりは床に倒れこんだ。

「好きだよ、テツヤ」
征十郎は涙を流しながらテツヤにそう告げた。
テツヤははっとしたような顔をして、悲しそうに微笑んで「愛してます、征十郎くん」と言った。
そして、ぎゅっと征十郎の手を握った。
「君を殺してしまう僕を……どうか、」

***

半日以上経った後、火は消された。屋敷は半焼し、地域でも有名な資産家だったせいで野次馬や噂話は絶えなかった。警察が燃えカスのようになった、とくに焼け具合のひどかったところを調べると、遺体が二体出てきた。
調べなくとも、その遺体はすぐに誰かは分かった。この屋敷の持ち主である黒子テツヤと、義理の弟である赤司征十郎の遺体だった。
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死ネタでした。
これはボツverだったんですが割と気に入ってたんで載せておきます^o^


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