君はふたり01(R18)

ただいま、と少女の声がして、アーサーはふと本を睨んでいた視線を上げた。リビングの入り口で見慣れたボブヘアの少女が制服姿で立っていて、アーサーと目が合うと微笑んだ。
「兄さん、ただいま」

にっこりと弧を描く口元を眺めて、アーサーも「おかえり」と返した。
学校指定鞄をリビングの隅に置くと、手に持っていた袋からいそいそとDVDを取り出して待ちきれないように再生機器の置いてある場所へと近づく。
屈んでDVDを再生機器をセットしているため、ほどよく肉のついた太腿があらわになる。普段は長いスカートで隠されているその姿は、どうも扇情的である。
それにちらりと視線をやって、アーサーは視線を本に戻した。本に視線を戻しても、頭に入ってくるのは先程の菊の真っ白でやや桃色がかったようにも見える太腿ばかりである。あの柔らかそうな肉に触ってみたい、と思ったりで、アーサーは溜息をついた。

いつの間にか、菊はDVDを再生していたようだ。いつもならソファに座ってみるのだが、今日は食い入るように画面を見ているために、床に直接座っている。制服のスカートが、めくれあがって下着が見えそうなほど上がっている。
しかし、当の本人は気づいていない。アーサーにこれほど無防備な姿をさらしていながらも気づかずに、呑気に画面に釘付けになっているのだ。

その姿を眺めながら、アーサーは昔はこんなのになるとは思わなかったなあ、と思い浮かべる。
菊とは母の再婚で出会った義理の妹である。初対面はもちろん親の再婚の時、いまから五年ほど前である。当時、アーサーは十五歳、菊は十歳であった。そのときの菊と言えば、まだまだお子様な風貌で、今のように女性的な体型ではなかった。胸もお尻もぺったんこ――――ようするに、子供体型であったのだ。
それがいまでは…とアーサーは感慨深く思った。

再度、視線をやる。
決して太くはないが細すぎることはなくむっちりとした肉感のある太腿、制服のブレザーのボタンが窮屈そうにも見える胸元、そして形の良いちょっと大き目のヒップライン。
そう、ぺったんこもぺったんこ、つるぺったんつるつるぺったんだと思っていた義理の妹はいつの間にか少女が女であると男に意識させるような体型になってしまっていたのだ。
この可愛くてちょっと控えめな妹を、アーサーは性的な意味で心配していた。自分が同じクラスだったら、一度や二度、いや、三度や四度もっとそれ以上に、ネタにしてしまっていただろう。ナニとは言わない、ナニである。
そのことを考えると、アーサーはいつ菊が訳の分からないちゃらんぽらんな男に引っかかってしまうかと心配でならない。そしてさらっとその男が菊の大切な○○をいただいてしまうのかと思うと、アーサーは叫び出したくなる。
そう、ようはアーサーは菊が可愛くて仕方がないのだ。実の親以上に、ある意味で可愛がっているのだ。

なのに、菊は無防備にこういう姿をさらけだす。
兄妹として馴染んできていると思うと喜ばしいことなのだが、あまりにもそのように接されると、アーサーはよからぬことを考えてしまうのだ。
兄妹になって五年、アーサーは最近、妹に対して性欲を感じてしまうことを悩んでいた。それもこれも魅力的な身体つきをしている菊が原因なのである。ぺったんこだったらアーサーの食指も動かず、兄として堂々と接することが出来ただろう。だが、アーサーは巨乳好きであった。そして菊は、巨乳である。

うう、とアーサーは呻いて頭を抱えた。
( こんなんじゃ、いつか絶対大変なことになる…。 )

そう思いつつも、菊への性欲が捨てることはできないアーサーであった。

***

ある日、菊はどしゃ降りの雨の中帰宅した。ブレザーはもちろん靴から鞄までびしょ濡れである。
翌日の登校に響いてしまうことに頭を痛く感じながら、菊は着替えを持ってバスルームへと近づいた。
そういえば兄さんはどこだろう、と思いながら大学かな、と思っていると、バスルームが開いた。

「あっ…………」
中から出てきたのは、今まで考えていた人その人、アーサーであった。
上半身裸の姿に、菊は思わず俯いた。引き締まった身体に、思わず照れてしまったのだ。

2013/11/16 19:06



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