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「ふぁ、」
朝目が覚めると、一番にピンクのもさもさしたものが目に入る。
毎朝の事ながら、一瞬戸惑う。
それは鳥の羽根が編みこまれた服で、ある男のトレードマークである。
「やっと起きたか」
もこもこがゴソリ、と動くと、口元を釣り上げて笑う男の顔が見える。
いつもかけているサングラスは、ベッド脇のテーブルに置かれており、普段めったに目にすることができないその目は鋭く、口元の笑いと相まって、不気味な印象すら相手に与える。
しかし、その顔にもすっかり慣れたスズ。
「おはよ、ドフラミンゴ」
ねむねむと目をこするスズを、ドフラミンゴと呼ばれたもこもこの主が抱きしめる。
服の鳥の羽根がスズの鼻をくすぐり、くしゅん、とくしゃみが出た。
「昨日あのまま寝たからなァ。シャワーでも浴びるか?」
「うん、浴びる」
「フッフッフッ」
ドフラミンゴはスズを軽々と抱き上げ、そのままバスルームへと歩く。
「お腹すいたね、ドフラミンゴ」
「風呂入ったらどっか食いにいくか」
「うん、そうする」
スズはドフラミンゴの胸に少し頬をすりよせた。
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mokuji |