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シャボンディ諸島は79番GR。 ここは無法地帯に隣接するホテル街で、他の70番代のヤルキマンマン・グローブ周辺のホテル街と比べても物騒な客ばかりが集まっている。
スズはそこにあるホテルのひとつで給仕をしていた。 給仕といっても、部屋にお酒を持っていったり、ちょっとした用事を言いつけられたりするだけで 肉体労働をほとんどなかった。 彼がくるまでは。
ある日、スズがホテルの前でタオルを干していると、 店の玄関にピンクの大きな毛玉が現れ、その毛玉が何かしゃべっているではないか。
気になって近づくと、毛玉だと思っていたものは人であったらしい。 金髪でサングラスをしていたので、隣の無法地帯から来たお客だとスズは判断した。
「いらっしゃいませ!」
いつもの営業スマイルを向けると、そのピンクの毛玉みたいな人は口端をキュっとあげて「フッフッフ、お前見たことないなぁ」といいながらスズをまじまじと眺めた。
(きっとあのサングラスの下はすっごく怖い目をしてるんだろうな・・・)
スズが内心びくびくしていると、さっきまで毛玉みたいな人と喋っていたオーナーが声をあげた。
「スズ!!ちゃんと挨拶をしないか!!失礼だろう!! すいませんね、ドフラミンゴ様。この子の指導がなってませんで・・・」
「いや、いい。問題ねぇよ。」
手を揉みながらへこへこと頭を下げるオーナーのほうへ見向きもせず、ドフラミンゴと呼ばれた毛玉みたいな人はスズの体を舐めまわすように眺め続けた。
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mokuji |