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じわり じわり
身体にまとわりつく鬱陶しい海風。 ただでも暑いというのに、その風のせいで余計な不快感が募る。 空には元気な太陽。
「あつい・・・」
じっくりと肌が焼かれる感じがした。
<夏涼み>
「なんて日じゃア」
「ホントだよねェ〜」
赤い肌蹴た服の男と黄色いストライプの服の男が太陽のさんさんと降り注ぐ窓の外を見てうんざりという顔をしていた。
「オ〜・・・クザンに会いたくなる日だねェ〜」
黄色いストライプの服の男、ボルサリーノは持ったうちわを一際大きくぱたぱたと扇いだ。
「なになに、呼んだ?」
「「クザン!」」
たまたま部屋の前を通りがかったクザンは、部屋の中から聞こえる自分の名前につられて入ってきたのだ。 入ってみるや、そこは男としては全く嬉しくない空間が広がっていた。 むさくるしいおっさんが、しかも長身のおっさんが、トドメと言わんばかりに2人も一つの机を挟んで座っていた。
顔なじみのその二人に向かって、クザンは呆れたようなため息をつく。
「はぁ・・・なにしてんのよ、二人して。あーあ、入って損した。じゃあね。」
片手をあげ去ろうとするクザンを、赤い肌蹴た服の男、サカズキが肩を掴んで引き留める。
「どうせなら一仕事していかんか」
「えー 俺が仕事嫌いなの知って言ってるの?」
「大丈夫〜・・・ちょっと氷だして欲しいだけだよォ〜」
立ち止まるクザンの肩をボルサリーノはつんつんと突いた。
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mokuji |