21:ダージリン


『ちょっとその人と・・・話をさせてください!』

口を出た言葉男の顔に由来する。



「これは私の問題です」

「・・・」

目を見開いている青ざめた男に、スズは見覚えがあった。
ほんのついさっきまで、全く気付きもしなかったのだけれど・・・

苦しそうに嗚咽を吐く姿が、かつて自分が見惚れた彼の困った顔に似ていた。


「先輩・・・ですね?」

「・・っ」

「眼鏡をかけていなかったので、気づくのが遅れました」


はたしてそれは眼鏡のせいだけだろうか?

(今は、そんなのどうでもいい)


「大丈夫ですか、話せますか?場所を変えましょうか?」

「お前 は、本当に・・・優しいなぁ」


口の端を血で滲ませながら、男はスズに困ったように笑いかけた。


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mokuji


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