走り逃げたクザンは玄関口の奥にある廊下をあるいていた。
(人が多すぎる・・・入り口付近はとてもじゃないが、あるけない)
パーティーの会場はとある国の1つの島で行われている。 その国は10の島からなる国で、政府機関の御用商人・生産者の人間が国民の過半数を占める。 10ある島、それぞれに特色があり、育つ作物・特産物・言葉の訛りはどれひとつとして同じものはない。
諸島のほぼ中央にある島が、パーティーが行われている島である。
この島は国の中枢機関が集まっており、今は観光名所となってしまった城もある。その城を会場として使用している。
古い城は床や壁が石でできていた。
コツン、コツン
クザンが歩く度、ひんやりとした廊下に音が反響する。
「さァ、どこからあっち側へ行けるかねェ」
あっち側とはスズが流されていった方向である。 大きな建築物の廊下、とくにこう言った古城では目的地に着くための道は1つではない。
左手を冷たい壁に付け、クザンは歩き出す。
・・・ぁ、 はっ
考えてみれば、最初からスズと会場にはいればよかったのだ。
(無理やりにでも)
『なんで更衣室のドアの前に居座るんですか!しかも更衣室内って・・・破廉恥!』 『ほら、クザンさんは先に行ってて美味しいものでも確保してきてください』
(ちょっとした冗談だったのに・・・力強く外に追い出さなくても・・・)
ただ、クザンはスズの『美味しいものでも確保して』というお願いだけは聞き逃さず、先に会場に入ったのだ。
(・・・行ってみたらまだ料理出てないし。もう)
はぁ、はぁ、
ドンッ!
クザンのお腹に誰かが飛び込んできた。
「いたいっ」
飛び込んできた人間が後ろへ倒れそうになったので、慌てて肩に手を添えて支える。
「大丈夫?」
「う、ぐうう・・・」
痛そうに鼻をおさえるこの人間は、綺麗な金髪をしていた。
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mokuji |