12:心配させて


パン パンパン!

「テーッ!!」

パンッ パンッ


海軍の軍艦と海賊船がぶつかり合い、互いに甲板の上で小さな戦場ができていた。

その血なまぐささと硝煙の臭いが支配する戦場で華麗に舞う女が一人。

女はくるりと一回転し終え、腕を左右に広げる。
彼女は左手にライフル、右手にカトラスという少し変な格好をしていた。

「みなさんで分け合ってくださいね」

彼女の周りの負傷した海賊、何が起こっているのか理解に努めている海賊、攻撃態勢にはいっている海賊たちは彼女を凝視する。

ざくり

彼女のほうから肉の裂ける音。
しかし次の瞬間、同じ音が自分の体から発せられる。
それよりももっと大きな叫び声がのどから湧き出た。

「うわぁああああ」
「なんなんだこれ!!!」
「こいつ、能力者か!?」

「大人しく攻撃をやめ、捕まってくれればこれ以上手を出しません。」

肉の裂ける音とともに血を噴き出していたはずの女は、何事もなかったように近くの海賊に近寄る。


「うるせえ!!死ね!!」


海賊は銃を彼女に向けた。
銃口はしっかりと彼女の頭を向いている。しかし、海賊は凍りついたように身動きが取れず、カタカタと小刻みに震えた。

「私のカラビナーとあなたのこれ、どっちが早いかな?」

女のライフルの銃口が海賊の左瞼をぐりぐりと押さえる。


「こんな近距離で撃つとね、頭は爆発するように弾け飛ぶの。」

二コリ、と天使のような笑い顔でグロテスクな話をする女に海賊は、勝ち目がないと悟り銃を降ろした。


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mokuji


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