<後日>
ガチャリ
「はい、もしもしー」
『スズか?』
「・・・サロメ?」
『・・・』
「なにか用?」
『マシューって奴に、監獄に入る前に電話をかける許可をもらった。』
「・・・そう、もう会うことはないね」
『・・・』
『ありがとう』
「?」
『そして、あの時は何も出来なくて悪かった。』
「サロメ・・・」
プツン、 ツー・・・ツー・・・
「・・・ありがとう。」
切れた電話の先に届くように願いながらスズは呟いた。
「ごめんなさい、私だけが『まとも』な生き方が出来てしまって。」
誰にも聞こえることなしに、その言葉は空気に散っていった。
「みんなを巻き込んだこと、麻薬の売買、倉庫の爆発、恨んでないって言えばウソになるけど・・・」
「私はあなたを心から嫌いになんてならないよ、サロメ」
鳴らない電話をにぎったまま、ぽつりぽつりとスズは涙を流した。
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mokuji |