<後日>


ガチャリ


「はい、もしもしー」



『スズか?』



「・・・サロメ?」



『・・・』



「なにか用?」



『マシューって奴に、監獄に入る前に電話をかける許可をもらった。』



「・・・そう、もう会うことはないね」



『・・・』






『ありがとう』



「?」



『そして、あの時は何も出来なくて悪かった。』



「サロメ・・・」




プツン、 ツー・・・ツー・・・




「・・・ありがとう。」

切れた電話の先に届くように願いながらスズは呟いた。


「ごめんなさい、私だけが『まとも』な生き方が出来てしまって。」

誰にも聞こえることなしに、その言葉は空気に散っていった。



「みんなを巻き込んだこと、麻薬の売買、倉庫の爆発、恨んでないって言えばウソになるけど・・・」


「私はあなたを心から嫌いになんてならないよ、サロメ」


鳴らない電話をにぎったまま、ぽつりぽつりとスズは涙を流した。


*prev  next#
[ 7/80 ]
mokuji


top

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -