20:捕まえた!

  

とことこ・・・

スズはいつもの制服とあまり変わりないワイシャツをタンクトップの上から羽織り、いつもと同じハーフパンツを履いてマリンフォードの町を歩いていた。

(・・・)

良い天気で過ごしやすく、町はいつも通り平和で笑顔が溢れている。

(・・・)

その幸せの輪からぽつん、と離れたところにスズはいた。

(・・・何か美味しいものでも食べて帰ろう。うん、それがいいや)

彼女はいま、別段なにかに苛立っているわけでも悲しみを背負っているわけでもない。
ただ気分がすぐれない。

(私、これでも海軍本部内では俊足で通ってるのになあ・・・)


後ろをちらりと振り返るが誰もいない。

(むう・・・)



かちん!


「!」

前の方から音がした。

「そこだー!!」

スズは脱兎の如く前方へと駆けた。
海の香りを含んだ空気が風となり髪を揺らす。


ほんの2秒ほど走ると視界が一気に開けた。

「今日はこのあたりじゃ珍しい魚がはいってるよー!」

「じゃあいただくわ、それ」

「私も同じやつお願い!」

そこはマリンフォードでは有名な広場だった。
野菜や果物や魚の市が開かれ、買い物をする主婦たちで賑わっている。

「・・・私だいぶ神経過敏になってますね」

はぁ、とため息を吐いた。
せっかくの休みだ、あまり気に病んでもしかたない。

(撮るなら撮ればいい)

スズは姿のみえないストーカーに心の中で宣戦布告をした。




それは、ついさっきのことだった。


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mokuji


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