「・・・広い!」

脱衣所から浴室への扉をあけると、見たこともないような空間が広がっていた。

「銭湯よりかは小さいけれど・・・大きいなあ・・・!」

もしかしたら、あの背の高いクザンのことだ。彼にとっては丁度いい広さの浴室なのかもしれない。スズはそう思いながら感嘆の声をあげることしかできなかった。
ふと奥に目をやると、一人ではもったいないほどの浴槽にもこもこと泡が浮かんでいた。

(泡風呂!)

スズは傍のシャワーで手早く身体を洗い、泡風呂に向かう。


(いざ、)


足をゆっくりつけると小さな泡が弾ける音。
その後ちゃぽん、と湯につかる。

「おお!」


「泡風呂気に入った?」

「!」

脱衣場の方からクザンの声がした。

「ごめん、バスタオル忘れてた。棚のとこに置いておくから」

「は、はい」


(び、びっくりした)

別に覗かれたわけではないのに、気恥ずかしい。

(そもそも脱衣所に入ってくるのはセクハ・・・いやいや、タオルタオル)

うーん、と唸りながらいつものように肩まで湯に浸かろうとすると鼻の上まで泡に埋め尽くされた。


「わぶっ」


っくしゅん!


鼻に入り掛けた泡がふわりと舞った。


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mokuji


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