端に逃げ、髪を手櫛でなおすスズに近寄り、クザンはしゃがみこんだ。

「話、ちょっとは聞いたよ」

「・・・」

「とりあえずね、俺からの提案なんだけど、」

“しばらく執務室で寝泊まりしなさい”

「! だいじょ「大丈夫じゃないよ」

この間同じような話が出た時、結局スズは自室に戻った。
あの後も状況はひたすら悪化している。もしあの時、しばらく執務室で過ごしていたならこうはなっていなかったかもしれないのだ。

「一応、ここに自由に出入りできるのは俺とスズちゃんだけだから。ここにいる間は俺がどうにかできる」

「でも、」

「でもじゃない。これは上官命令ね。守らなかったら軍の会議に命令違反でかけちゃうかもしれないから。わかった?」

「(そんな無茶な・・・)はい・・・」







「結局、写真はどうなってるわけ?そこよく聞こえてなかったんだけど」

「えっと、どこまで聞いてましたか?」

「スズちゃんの写真がどうの、知らせに来ただの。何が、とかは聞き取れなかった。」

「そうですか・・・それは、」

男に先ほど聞いた話を、スズはクザンにすべて話した。



「ひどいねェ」

「でも全部、私を好いてやってることなんですよね・・・」

「そりゃァそうだけど・・・」

「人を好きになるって、本当に面倒なことですねえ」

だから私は誰か個人を好きになったりしない。
どうせ愛するなら平等に愛したい。



「そんなこと言ってると婚期逃しちゃうよ」

「独身上等ですよ!」


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mokuji


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