コビーと別れた男は1人廊下を歩いていた。

(なんか罪悪感わくよな。さすがに)

見知らぬところで自分の写真が取引されている。
それがどんなショックを与えるか、男は考えていた。

(やめてくれって言うんだろうな、やっぱり)

今まで彼女自分の持つ写真の存在を知らぬのをいいことに、好きに集めてきた申し訳なさ。
彼女の気持ちを考えようとしなかった自分の浅はかさ。
今になってそれらは男にずん、とのしかかった。



そんな、自分を苛む男の前を例の写真売りが横切った。
男は思わず足を止める。

「わっ、びっくりした・・・」

「お久しぶりですねぇ」

「なんだ、お前俺のこと覚えてたのか」

「ご贔屓いただいてる方の顔は目を瞑っても思い描けますよ」

くくく、と写真売りは笑うと懐から茶封筒を取り出す。

「今日はねぇ、特別なのがひとつ。いかがです?」

写真売りは茶封筒から写真を半分ほど覗かせ、男に見せる。

「これ・・・」

「素敵でしょう。どうです?1枚5000ベリーで」

写真売りは開いた手をパーに広げて、男へと向けた。

「ばかか!こんなもん買えるか!!
それにな、俺はもう写真は買わねぇ。お前とはもう会う必要もねぇんだ。」

男はそう言い切ると、写真売りの横を通り、先へと足を進めた。
後ろから「そうですか、残念です」という写真売りの声が聞こえた気がした。



(おいおいおい、あれは洒落にならんぞコビー。
これはさすがに、俺でも我慢ならねぇ・・・!)

男の足は早く早くと加速する。


(早く、サクラ少将のところに!)


男は青雉の執務室へと走った。


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mokuji


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