「ついこないだからかな。サクラ少将の写真売ってるやつがいてさ」

「えっ、そんな人が・・・」

「そうそう。んで、俺もそいつに売って貰ったんだわ」

突如ふらっと現れた写真売りはスズの写真を大量に持ち、順々にそれを売りさばいていたという。


「スズさん知らないんだろうなぁ・・・」

「そりゃあなぁ。盗撮だもんな・・・」


「盗撮・・・。」

コビーの頭に嫌な予感がよぎった。


(あわわ、わ)


「まさか、その・・・盗撮ってもしかして・・・」


男はそれを聞いてプッと噴きだすと大きく笑いだした。

「はは、俺の見た限りそんな写真はねぇよ。心配すんな。」

「あ、はい・・・!」

自分が何かとても恥ずかしいことを言ったようでコビーは顔を真っ赤にした。



「俺もサクラ少将には悪いと思ってるよ。写真とかさ。けどやっぱ好きだかららなぁ・・・。写真でもいいから眺めたいんだわ。」

「わかります。でもやっぱり、スズさんが勝手に写真撮られてるってのはよくないですよね・・・」

「・・・そう、だよなぁ。」





「コビー!!!」


食堂の入口のほうから、コビーを呼ぶ大きな声がした。


「わ、あいつきたぞ」

「ヘルメッポさんっ」

「やっと解放されたぜー!」

どかどかとヘルメッポがコビーたちのもとへやってくる。
どうやら説教とやらは終わったようだ。

「じゃ、俺は行くかね」

男は立ち上がると自分の食べたあとの食器を持ちあげる。

「コビー、とりあえずさっきのは内緒な。」

「え?あ、はい!」

「ん?俺、邪魔したか」

「いんや、気にすんな。訓練がんばれよー!」

「また!」

男はヘルメッポの肩をポンと叩くとそのまま食器の返却場所へと去って行った。
残されたヘルメッポは状況が読めず、首をかしげる。
しかし、実のコビーのほうも腑に落ちないと言いたげな顔をしていた。

「なんか大事な話でもしてたのか?」

ヘルメッポの声にハッとして彼の方へ向き直る。

「ううん。違いますよ。さ、訓練行きましょう!」

そう言うとコビーは自分の食器をさげ、歩き出した。

「あ、おい!待て」

ヘルメッポは先へ先へと歩くコビーを追い掛けた。


(スズさん、大丈夫かなぁ・・・)

どんな傷でも受け入れるあなただから、何かあっても一人で抱え込みやしやないか。
コビーはスズを按じた。


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mokuji


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