「そうか、サクラ少将はいま青雉大将のとこか」


「はい、ある日突然招集をうけてそのまま」


「はー・・・。どおりで最近ぱったり見ないわけだ」

そう言って男は生姜焼きにがっついた。

周りには彼と同じように食事をしている海兵がたくさんいる。
彼らは皆、若い海兵であった。
海軍本部では食堂は2つに分けられている。どちらも同じ経営者で同じ料理が出るが、一つは准将以上の階位を与えられた者しか入れないようになっている。
これは食堂の混雑を少しでも緩和するためである。

「サクラ少将、前はお前らとよくここに食べに来てたもんな。んで、カレー食ってた」

「あの人、カレー大好きですからね・・・」

思い出すのは先ほどの写真。

(あんなに幸せそうに食べてもらえるならカレーも本望だろう)


「そういえば、スズさん写真のモデルなんかやってたんですね」

「? モデル?なんのことだ」

「いや、さっきの写真ですよ。あれってスズさんのブロマイドかなんかですよね?」


「・・・」


「あれ?」

男は黙り、彼の箸が止まった。
騒がしい食堂の中でそこだけがポカンと切り取られたように一瞬静かになる。

「あー・・・えーっと・・・うん、無許可の写真、なんだよな・・・実は」

「えええええ!」

コビーが勢いよく立ちあがる。
周りで食事をしていた海兵が何人かこちらを向いた。

「お前声大きいんだよっ」

「でも!だって!それよくないですよ!?」

「仕方ねぇだろっ」

「そんな!勝手に撮るだなんて・・・!」

「撮ったのは俺じゃねぇって!」

そうか、そうだった。
コビーはすとんと椅子に座った。
それを見た周りの海兵も何事もなかったかのように各々の会話に戻る。


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mokuji


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