ガープ中将の部下が出入りする部屋のそばで、コビーはヘルメッポと待っていた。

(早く来すぎてしまった・・・)

北側の通りにある廊下のため強い日差しは当たらないが、それでも額にはじんわりと汗がにじんでくる。
今日は珍しく、一般的に海兵に支給される制服を着ているコビー。

(湿気さえなければなぁ・・・)

腕に付けたリストバンドで汗を拭った。



「おーい、コビー!」

ふいに廊下の先から声をかけられる。
それがヘルメッポによるものだと思い、顔を声のするほうへ向けた。
しかしすぐに彼でないと気づく。

「あれ?」

「コビー、久しぶりだなぁ!!」

「あぁ!お久しぶりです!」

声の主はヘルメッポではなく、雑用時代に仲良くなった友人だった。
コビーよりも2つか3つ年上の彼は今もまだ一等兵をしていると前に聞いた。
2人が会うのは実に数カ月ぶりである。

「お前は変わりねぇなぁ」

「そちらこそ。一目でわかりましたよ」

「口調も変わってねぇや」

階級こそコビーのほうが上であるが、彼は昔と同じ敬語で話した。

「久しぶりに会ったんだ。飯でも一緒にどうだ?」

「すいません、僕いまから訓練の約束してるんです」

「真面目だなぁ。いいことだ。うんうん。」

俺も見習わないとな、と男は笑った。
2人そのあとも最近調子はどうだとか取りとめのない話を一言二言話した。





「そうだ。お前の上官、サクラ少将だったよな」

「そうですよ。元、ですけどね。」

ガープの下でこの間まで共に正義を背負い働いた同志。
スズの部下の中でも、特にコビーとヘルメッポは彼女に懐いている。
周りより自分に歳が近いせいか、スズも彼らの面倒をよく見ていた。

「仲良いんだろ?いいなぁ」

「僕は仲良くさせていただいてる身だけどね」

「羨ましいよ。俺、サクラ少将のファンなんだぞ。ほら写真も沢山」

男がポケットから手帳を出すと、その間にはスズの写真が沢山挟まっていた。

「うわっ、すごい」

「へへん。いいだろ!」

男は手帳から写真を一枚取り上げると自慢気にコビーに見せた。
写真にはカレーを口に運ぶスズが写っている。

「(スズさんまたカレーを・・・)よく撮れてますね。あなたが撮ったんですか?」

「いんや。俺はこんなに上手く撮れねぇよ」

専門家だ、専門家。
男がそう言ったとき、傍の扉が開いた。


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mokuji


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