「あららら、ホントに全滅させちゃったの」
血にまみれたその場に不釣り合いな間の抜けた声。
「てめぇ・・・青雉・・・」
「あー、お前、あれだな、えーっと・・・俺のとこの少将ちゃん爆発した奴だよね?」
「・・・」
「で、今回はこんなとこで血まみれにさせて」
(血まみれ?)
サロメがスズを今一度よく見てみると、海軍将校のコートや膝や手首が血に染まっている。
(これは返り血じゃねぇのか・・・?)
「ったく。スズちゃんにも困ったもんだよねェ。能力使うなって言ったのに。」
一応上司命令よ、と言いながら青雉はスズの元へしゃがみこむ。
「スズちゃん、大丈夫?起きてる?」
青雉は前のめりで倒れこむような体制になっているスズを仰向けにして、自分の手をおでこに当ててやった。
「はい、 なんとか」
薄く眼を開けるスズを見て、青雉は安心した。
「私、たぶん、まだまだ痺れが取れない と、おもいますので 先に、マシューさん、呼んで連行しちゃって ください」
スズは、たどたどしくそう伝えると、にこりと笑った。
(仕事人間なんだから、もう)
「すでに連絡したよ。それよりスズちゃん、怪我してないの?血はすごいけど」
「大丈夫です。無傷、ですよ。けど・・・麻痺だけはどうにも ならなくって・・・。」
「さすがだねえ。とりあえず、こんなとこで横になってるのは良くないからちょっとそこまで移動するよ?」
「? ああ、はい。おねがいしまっうわあ!」
肩を持たれたかと思うと、軽々と持ち上げられた。
そう、俗に言うお姫様抱っこで。
「クザンさん・・・!降ろして、くださいっ 今すぐ降下を 要求します! よろしいですかっ」
「動けないっていうのに、口だけは達者だねぇ。すぐそこだからもうちょっと待ってくれる?」
真っ赤な顔をしたスズはそのまま傍の木の下まで運ばれた。
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