その頃、青雉執務室より遠く離れた廊下の隅で、二人の男がふと立ち止まり話し込む。


「これが新しい写真です」

「おお。今度もよく撮れているな」

「被写体がいいですからねぇ」

「いくらだ」

「一枚5000ベリー。2枚なので1万ベリーいただきます」

一人の男が茶封筒を、もう一人の男が財布を持っていた。
茶封筒を持った男はそれを渡し、財布を持った男から金を渡される。
周りからは死角になるように、それらは交わされた。

「まいど」

「また新しいものが入ったら呼べ」

そして二人の男は何事もなかったかのように別れ、別の方向へ歩いて行った。
時間にしてほんの数十秒。傍から見れば、ただの上官と部下の会話風景。
しかし、二人の間でやり取りされたものはそれからずいぶん遠いものであった。


「さて、次の客の元へ行かねば」

先ほど茶封筒を持っていた男は懐から新しい茶封筒を取り出し、手に握る。


「ああ、でもその前に一枚撮っておくのも悪くないなぁ」

そろそろ書類をもって彼女はあちこち動き回るから。


男はニヤリと笑い、窓の外を眺める。

「どうせなら水着でも着てくれないものかねぇ」

男はそう呟いてから、自分の言葉に笑いがこぼれる。

「はは、水着なんて着た日にゃ俺は大金持ちになれそうだなぁ」


ひとしきり外の景色を眺め終え、男はゆっくりと廊下に伸びる影へ吸い込まれる。

そして廊下には、誰一人いなくなった。


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mokuji


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