「しばらく喋らなくていいように、喉つぶしてやるよ」

男は足後ろに引いて蹴る体勢に入り、スズの喉を狙う。
いざ蹴りだそうと足に力を入れると、膝に妙な違和感が走った。

(なんだ)

違和感は即座に痛みへと変わる。

「っ!!!」

膝をえぐられるような激痛。
オールバックの男は痛みで顔をゆがめながら後ろに倒れた。


「どういうことだっ・・・!」


「そういうことよ、サロメ。
・・・自分の膝を見て自分の頭で、理解しろ」

そう言うと、スズは鉛のように重い口を閉じた。



(くそ!あいつ俺の身体にいつ触れた?!
腕まで切れてやがる・・・!!くそう!ちくしょう!!)


サロメと呼ばれたオールバックの男は懐の銃に手を伸ばそうとした。
しかし、腕の筋肉が寸断され、肘より先が使い物にならない。


「ぐ、ううう」


飾りと化した腕でも、痛みだけはじんじんと伝わる。
そしてその痛みはサロメから血を奪い、熱をうばっていく。

(このままじゃ、死んで・・・死・・・死ぬっ!!)

「おい!誰か!!動ける奴はいねぇのか?!
なぁおい!!だれかあいつを殺せ!!」


サロメの周りにはすでに息絶えて動かなくなった者、気を失った者、そしてサロメと全く同じ傷を負って動けずにいる者しかいなかった。


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mokuji


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