その後、私はクザンとの仕事を終え、ベッドに倒れるように横になった。

ぐったりと疲れた体は、易々と夢の中へと引き込まれる。



白い肌に埋め込まれたアクアマリンの瞳。
金糸の髪をふわりふわりと風に撫でられながら彼女はただ私の目の前で微笑み続ける。
私を待っているのか、それともただ見ているだけなのか。

血にまみれた服だけが、ぼうと浮いて見えるので。私は彼女に何か仕立ての良い服をあげたくなった。
(でも、こんなことよりももっと他に・・・)
そうだ、ありったけの幸せを。

優しいあなたのことだからきっと、ごめんなさいと言っても困った顔で笑うのだ。
絶対に責めたりしてくれない。

救われた人生で何かできるかと問われれば、わからないとしか言えないけれど。それでも、彼女に生かされ幸せを得ることができたこの人生は、彼女のために使おうと思った。

たくさんの人の傷を引き取った貴方は、きっと私のことなど覚えていないだろう。

でもそれでよかった。
私が彼女にするすべての事は、私の自己満足であるとちゃんと知っている。自己満足だと割り切っているからこそ、より過保護になれるというものである。私にとって、それは誇らしい。


「ありがとう!」

いつも微笑むだけだったあなたが、抱きついてそう言った。私はただ目をぱちぱちとして、耳を疑う。

「大好きですよ!」

大好きなのは、私のほうだ。
眩い笑顔の彼女を抱きしめ返した。

あぁ、涙がとまらない。
ずっとこうやって、話したいと思っていた。
けれど私なりの頑固な決意のせいで、今の今までずっと離れて想うことしかできなかった。

古い馴染みがぽろりと漏らした話に、これだ、とあなたへ近づく決心をした。
再び会えたときの喜びを、生涯私は忘れることはないだろう。


結局、私が彼女にできたことは仕事の負担を減らすことだけだったけれど、彼女が幸せになるためのドアはひとつ開けてきた。


「今のままで充分幸せですよ」

ううん、あなたはもっと幸せになってもらいます。


撫でた髪の柔らかさにうっとりとしながら、あとはただこの暖かい空気に身をゆだねた。


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mokuji


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