医療薬剤開発局。通称、医薬局。
それは世界政府直属の組織。
マリンフォードの海軍本部に大半の設備や施設を置いてはいるが、海軍本部とはまた別の組織である。


「スズさんに助けられたとき、わたくし思いました。『助けられることしかできなかった』と。」


ミレディーがまだ自分をアンヌと名乗り、一海兵にしかすぎなかった時。
彼女は戦場の中でスズに助けられた。


「小さな身体が、腕がとぶのを見て、それでも笑うあの子を見て・・・どうにかしてあげたくなったのです。
彼女を傷つけることしかできなかったアンヌはその場に置いてきたわ」

そう、その日ブリュイ・アンヌは死んだ。

「でも局長として名乗ってるのはブリュイの名じゃない?」

「そうね。恥ずかしい話だけれど、ブリュイの持つ資金力に頼るしかない時があって・・・。それからずっとね。」

(それに、みんながブリュイ局長と呼ぶんだもの)



「わかんねェな・・・お前の親父さんはどうなった」

「父は今も昔もデュマ・トレヴィルただ一人よ」

「なぜ姓が違う。ブリュイじゃないのか」

「ふふ、わたくしはブリュイの妾の子。わたくしを授かったまま、母は父と結婚した。
資産ためにブリュイを名乗っていたけれど、本当はずっと父と同じデュマを名乗りたかったわ。」

重い話のはずなのに、ミレディーはすらすらと躊躇わず話す。


「アンヌ、それで」「待って」

ミレディーがクザンの前に手を出して、言葉を止めさせる。

「今のわたくしはミレディー、デュマ・ミレディーよ。」

「・・・ミレディー、名前が違う理由は大体わかった。けど、俺が一番気がかりな謎は解けてない。」

「なにかしら?」


「なんで歳をとっていない」

豊かな蜂蜜色の髪に包まれた、若い女性の肌。
その容姿はスズとさほど変わらない年齢、といった印象だ。

「サカズキと同い年のあんたが、なぜそんなに若い」

「・・・女性に年齢の話をするのは感心しないわね」

つんと張った唇がやんわりと弧を描く。

「お前はいったいなんなんだ」

「人を魔女みたいに言わないでほしいわ。わたくしはわたくし。
この顔は実験の成果よ。」

「実験?」

「そう、薬物のね」


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mokuji


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