ミレディの計画。
そう、それはスズの知らないところで秘密裏に進んでいた。


「サカズキ。どうしましょう、あの子・・・」

「わしは知らん。お前がどうにかすると言うたのじゃろ?どうにかせい。」

「もう、現状を知らないからって・・・」


海軍本部のとある廊下の一角で真っ赤なスーツを着た男と、蜂蜜色の髪をした綺麗な女性が佇んでいた。
一見すれば恋人同士に見えなくもないが、彼らは決してそういう関係ではない。

「そもそも、わたくしに相談せずとも、直接クザンを焚きつければよいのですわ」

少し怒っているのはデュマ・ミレディ准将。
モモンガ中将直属の部下である。

「お前のぉ・・・クザンの奴をそう仕向けたところで、サクラが奴を好いておらんかったら意味ないじゃろ」

「それはそうですけれど・・・」

困ったように説得しているのはサカズキ。泣く子も黙る大将・赤犬だ。


「なんだ?サクラはあいつを嫌っちょるのか」

「そんなわけないじゃないの」

「じゃろう。わしから見てもそれは分かっとるんじゃァ」

「?」

ミレディは小首を傾げた。

「何かきっかけさえあればあいつらは絶対に一緒になる。」

「そう簡単じゃないのよ」

「それをどうにかせェというちょるんじゃ」

「・・・わたくしだって、あの2人・・・とくにスズさんには幸せになってほしいわ。」


ミレディの頭にスズの言葉がよみがえる。
『私は色恋が理解できません』
『ミレディーさんとクザンさんはその中でも断トツですよ。あとガープさんも』


「これはもう・・・わたくしとガープさんが嫌われるしかないのでしょうか・・・」

「なんじゃ、それは」

サカズキは怪訝そうにミレディを見た。

「・・・いえ、こちらの話よ」

思わず口からでた言葉をもごもごとごまかした。

あくまでクザンとスズとのハッピーエンド、ミレディは2人を互いに想いあってくっつくように、と計画をたてていたのだ。


「サカズキも何か手伝いなさいな。」

「・・・わしはこういうのは上手くない。」

「ふう・・・。
わたくし、もしこれがスズさんのためじゃなければ、遠の前に放り出していますわ」

「お前には感謝しちょる」

「今度形で示してくださいませ」


ミレディは手でサカズキをあしらうと彼に背を向けた。
蜂蜜色の綺麗な髪がそれにつられてなびく。


「ともかく、クザンが気持に従わずふらふらしてるのがよくありません。
サカズキは彼をどうにかしてください。
わたくしはスズさんともう少し話してみますわ。」

それでも無理なら、もうクザンのごり押しです、と言ってミレディはその場を離れようと歩き出す。


「頼りにしちょる」

サカズキの言葉を無言で背中に受け止めながらクザンの執務室に戻るべく歩みを進めた。


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mokuji


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