「どうぞー」
青雉の間の抜けた了承を合図に、ドアがひらかれた。
「失礼いたします」
開いたドアの向こうには2人いて、1人はときどき顔を合わせるモモンガ中将のところの少将。もう一人は見慣れない女性だった。
「うわ、超美人」「綺麗・・・」
2人して目をぱちくりさせながら彼女を眺めた。
「青雉さま、こちらモモンガ中将の隊のデュマ・ミレディ准将です」
「はじめまして、デュマ・ミレディと申します。 ミレディとお呼びくださいませ」
少将に紹介され、自らも名乗ったその女性。 立ち振舞い、発音はまさに貴族のそれである。
「俺はクザンだ。こっちの子が、」 「サクラ・スズ、少将です!」
いつもと比べると比較的、紳士な立ち振舞いをする青雉。 いつものように明朗としているものの緊張の色をみせるスズ。
そんな二人を察してか、彼女はクス、と小さな笑みを浮かべた。
「これから、暫くの間よろしくお願いしますわ」
「「 ? 」」
何のことか全く検討のつかない2人は、彼女のとなりにいる少将に向かって首を傾げる。
それを見た少将は「あれ?」という顔をした。
「もしかして、ご連絡漏れいたしましたでしょうか・・・?」
「(む、)・・・それ、いつ頃ですか」
何か思い当たるフシがあったスズは少将に尋ねる。
「たしか10日前です」
「やっぱり!」
*prev next#
[ 19/80 ]
mokuji |