スズは給仕室でお湯を沸かすと、ティーポットにお湯を通し、温める。 そして茶葉を淹れお湯を注いだ。湯気に乗ってさっきよりも上品な甘い香りが漂ってくる。 今すぐ飲みたいのをぐっ、とこらえてポットにタオルを巻き熱を保持。 そしてそのまま待機。
(数分たったらできあがり、っと。)
スズはポットを軽くゆらしたあと、茶漉しを使いながら海軍の支給品のマグカップにお茶を注いだ。 そしてお菓子のような香りをふりまく緑茶ができあがった。 それは香り高く、しかし無邪気に。
できあがった緑茶をお盆にのせ、青雉の元へ持っていく。
「お待ちどう様です」
「んー、いい匂い。」
茶葉の缶を左手に持っていた青雉は、スズの持ってきたマグカップに注視する。
「マリージョアのさくらんぼ緑茶ですよ」
「へぇ、結構シャレたもの置いてるんだね」
マグカップを受け取ると鼻を近づけて香りを楽しんだ。
「ですね。フレーバーティと同じかと思いまして、紅茶の要領で淹れてみました」
スズも青雉に倣って香りを楽しんだあと、ひとくち口にする。
「おいしい!」「うまい」
二人はそう、口をそろえた。
口に広がる緑茶の深い味わい。まろやかな香りを含みつつ、ちらりと垣間見る苦み。 そしてそれに相乗するチェリーの香りが味の幅を広がらせる。
「さくらんぼと緑茶、すっごく合います!」
「パッと聞いたふうでは、首をかしげるような組み合わせだけどね」
「お茶うけなしでも賑やかなお茶の時間になります」
「ガープさんいいもの買ってきたなァ」
二人がお茶の話に花を咲かせていると、それを中断するように執務室のドアがコンコン、とノックされた。
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mokuji |