スズはさっそく、先ほどのアルミ製の丸い缶を開けた。
たくさんの茶葉といくつかのハーブ、そして乾燥されたチェリー。
缶を開けた瞬間から、それらの奏でる芳しい香りが辺りに漂った。


「わぁ・・・すっごくいい香り!!」

チェリーを主とした爽やかな甘い香り。
すぐに飲んで、と茶葉が喋るようだ。


「・・・はぁ、  あれ?」

香りにうっとりとまどろんでいたスズはあることに気づく。


「これ、緑茶・・・?」


紅茶にしては緑の色がつよい茶葉。
そう、これは紅茶ではなく緑茶だったのだ。

スズは美味しいと評判のそのお茶を「チェリーティー」と聞いていただけなので緑茶だとは想像もしていなかった。

缶を開けたときに、何か違和感を感じたが
紅茶だ、という先入観が働いていたのでスズは気付かなかったのだ。


(さくらんぼの緑茶とは・・・!また珍しいですねえ!)




「なに?このにおい。香水みたい」

チェリーの甘い匂いを嗅ぎつけ、寝ころんでいた青雉がスズの手元を覗き込んだ。

「いえいえ、これはお茶ですよ。フレーバーティです。緑茶ですけど」


すぐお淹れしますね、と言うと「ふーん」と味気ない返事。
その返事とは対照的に、興味深そうに茶葉の缶を眺めていた。


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mokuji


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