グロス



「はぁんっ・・・そ、こッ」
「いいのか?」
「! すごくッ・・すっごく、いいっ」

 ぐちゅり、と鳴る粘着質の液体をかき混ぜる音が女の声と相まって耳に心地いい。
 あの甘くて美味そうな唇は本当に見かけどおりに良かった。女特有のあの甘い香りが口に広がり、たまらず噛みつくようなキスをしてルージュもグロスもぐちゃぐちゃにしていく。

 何度も口づけながら腰の動きをはやめた。
 女は苦しそうに顔をゆがめたがそれがまた良かった。

 スズにこんな顔をさせるようにできるだろうか。・・・いいや無理だ。
 ひょっとするとカリファを躾けたほうが早いかもしれない。

 彼女の、スズの一か月後を思うと気が重い。せいぜいそれらしいものを育て上げて長官には別の策を考えてもらう。

「やッ ん、あっ・・・ああッ」
「・・・ッ」
 ぎゅうと締まる肉のなか吐精したあと、ヒクつく壁を撫でるように何度か腰を打ちつけた。 



 スズにはサロンでの施術後、顔も見ずにどこか好きなところに泊まるように指示した。金はあらかじめ総額の3割ほどを渡してある。この町のどこにだって泊まれる額だ。いまごろどこかのホテルのベッドで寝ているだろう。

(明日は美容院であの長ったらしい髪をどうにかしなくちゃいけないな。)

 横に寝転ぶ女の乱れた髪を一瞥し、明日の予定を頭の中で組み立てた。


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mokuji

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