スズとクザンは女将の後へ続き、くまが予約してくれたらしい部屋へと案内された。


「綺麗・・・」

いつも歩いている海軍本部の廊下と比べるといくらも狭い廊下なのに、そう間を置かず明りが設置されているためどこか華やかであった。
落ち着いた雰囲気の壁が、日常との別世界を思わせる。



「こちらでございます」

廊下にぽつぽつと見かけた同じような戸のひとつの前で女将が立ち止まった。

控えめに女将がそっと後ろへ下がり、スズとクザンは部屋に入る。


「おっきなお風呂が!」

「掘り炬燵か・・・いいねェ」

スズは窓の外に見える露天風呂を、クザンは掘り炬燵に目を輝かせた。


「お部屋には露天風呂と桧の内湯がございます。お好きにお楽しみください。」

どうやら内湯もあるらしい。


「お食事はどうされますか。焼きものはお食事処でのお召し上がりとなりますが、生もの・煮ものはこちらのお部屋でお召し上がりいただけますよ」


「スズちゃん、どっちがいい?」

クザンはスズに尋ねた。

「うーん・・・すごく、すっごく迷うのですが・・・お刺身食べたいから、お部屋で!」


「はい、畏まりました。いつごろお持ちいたしましょうか」

「そうねェ。だいたい19時ごろかな」

「畏まりました」


では、ごゆっくり。


女将はそう言うと頭を下げ、部屋を出た。





「寒いから炬燵はいっちゃおう」

「そうですね」

2人は荷物をとりあえず壁のそばへ置き、いそいそと炬燵に足をつっこんだ。


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mokuji

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