一番深くまで押し込んだ己がさらに、深く、と刺激を求めて疼く。
「はァ...そんなに絞めるな。気持ちいい。」
 気を抜くと自分勝手に抱いてすぐ吐精してしまいそうだ。
 スズの中、最奥にある壁をぐりぐりと押し撫でてからクザンは腰を引いた。
「や、ぁ....んん...」
 スズの肉が「待って」としがみついてくる。
「嫌?どの口が。」
 内臓を痛めつけないように、引き抜きかけた腰を先端が奥に当たる寸前まで押し戻す。
「あぁっ、」
 いや、と捻る首を追いかけて唇同士を押し付けた。腰の動きは止めず、全身でスズを撫でるように縋りつくように愛した。
 頬を伝い耳へと移した唇で耳にキスを落とすとまた彼女の中がきゅうと締まる。
「いっ....。」
 たまらず力いっぱい腰を打ち付けてしまい、スズから苦悶の声が上がった。
「ごめん、大丈夫?」
 耳元で尋ねるとスズは天井につぶやくように「大丈夫です」と告げた。それを聞いて安心したクザンはまた際どい律動を繰り返す。クザンの雄より少し短いスズの穴。その穴の上辺が彼女の弱点だ。
「ふぁ、あ....や、ん...!あぅ....。」
 重点的に攻めれば背を反らして反応する。自分に翻弄されて上下する白い腹と胸は光景として実に甘美だ。
 クザンはスズの胸の真ん中におでこを寄せて彼女の肉壺をかき混ぜるように刺激すると、頭上で熱に浮かされた声が聞こえてきた。
「それっ...だめ、やだ、」
「気持ちいい?」
 行為中の彼女の「嫌」は不確か極まりない。多くの場合は羞恥心ゆえの拒絶にすぎない。今回も、気持ちいいかという問いにコクリと頷いた。
「俺も気持ちいいよ。」
 恥ずかしげもなくそう言ったクザンからスズは顔を赤く染めて目を逸らした。視線を外しても体の熱は上がるばかり。

「あっ...ん...!」
 再び出して入れての律動を繰り返すクザンの、その規則的な刺激がスズをゆっくりと絶頂へと押し上げていく。
 もうそろそろ、と限界が見えてきたところでスズはあることに気付いた。
「....クザ、さん。手、うでっ...」
 肉の棒が擦れる度に押し寄せる快楽の波に打ち流されながら、スズはやっとのことで頭の上でまとめ上げられていた腕の解放を求める。彼女の必死の訴えに彼はクスリと笑いを浮かべたあと、すんなりと自らの手を退けた。スズの手の皮膚を彼の手が離れるより先か、スズが彼に抱きつくが先か。自由になった彼女の2本の腕は即座にクザンのうなじに巻き付いた。
「寂しかった?」
 久方ぶりに会った恋人にでも接するように切ない顔で抱きつくスズ。彼女の頬に自分の頬を擦り寄せてから口付けた。舌で舐めて吸ってやる合間に目を細めながら「クザンさん」と男の名前を呼ぶその仕草。甘ったるくてどうしようもなく愛しいそれはクザンの征服欲を駆り立てる。
「スズ、スズ。」
「っあ...ん! あぁ....」
 名前を何度も反復して、合わせるように腰を揺らす。そのたびに感じて漏れるスズの嬌声。
 クザンはいつ達してもおかしくない自身をなだめながら、スズが感じやすいように丁寧に刺激を与えてやる。ゆっくりと、けれどねっとりと濃厚に。。スズの脳はあちこちでピリピリと電気が走らせた。
 もうだめ、と上半身を弓のように反らせたスズを隙間なく抱きしめてクザンは彼女の首にかぶり付いた。絶頂のその寸前に与えられた新たな刺激のせいでスズは達してなおクザンをぎゅうと締め付けて離さない。スズが達して間もなく、クザンも彼女の中で緩く腰を打ち付けながら熱を吐き出した。

 浴室の外、部屋の冷蔵庫では桃のカクテルがすっかり飲み頃を迎えていた。


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mokuji

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