![](//static.nanos.jp/upload/tmpimg/35650/33.gif) ![](//static.nanos.jp/upload/tmpimg/35650/33.gif)
「わあ!なんて綺麗なヒノモトスタイル!」 ヒノモトとはこの温泉宿のある島国の俗称だ。 壁や浴槽、そのすべてが桧で作られた内湯。浴室に入ると止めどなく流れる湯から暖かな湯気が立ち部屋全体を包み込んでいるため、サウナほどではないがほっこりと暖かい。 「はあ.....いい香り。」 もったいぶりながらぺたりぺたりと桧の床板を一歩ずつ踏みしめて湯船に近づき、そばにあった桶を掴むと湯にとぷんと浸けた。温度はいつも入っているお風呂より少し熱いくらい。 「なんだかお湯もいい香り。」 スズは桶に汲んだお湯をザバリと身体にかけた。
そのあと入念に頭や体を洗い、使ったタオルを器用に頭へ巻きつけターバンをこしらえた。これでたっぷり湯を楽しめる。
「ふう......。」 溺れてしまわないように浴槽の縁に腕を乗せて。ふと脱衣所とここを隔てる扉に目を向けるともそもそと動く黒い影が映っているではないか。 「な....。」 眉間に皺を寄せてスズは絶句した。 その黒い影は疑うまでもなくクザンだ。
水中のため本調子ではないその力を振り絞り湯からゆっくりと上がる。頭に巻いていたタオルをほどき胸元から太もも辺りまで覆い隠すと、ぺたぺたと濡れた足で扉に近づいた。 ガラリ、と音を立ててそっと扉を開くとちょうどズボンを脱がんとしているクザンと目が合った。 「何してるんです。」 「混浴しようかなァ、って。」 悪びれるふうもなくケロリとした顔そう言った。 「わざわざ一緒に入らなくたっていいじゃないですか....たまにはのんびりお風呂入らせてくださいよ....。」 「ひどいなァ。普段俺のことほったらかしで勝手に入っちゃうくせに。」 「いや、そもそもお風呂は一人で楽しむものであってですね...。それにいつもクザンさん後から入ってくるじゃないですか、どの口がそんなことを?」 はぁ、とため息をついてスズは頭をかかえた。 その間、クザンの視線は舐めるようにスズの体を這う。 「じゃあ私が出ますから、代わりにどうぞ。」 スズはクザンの下卑た視線に全く気付くこともなく、扉のそばに掛けておいた大きなバスタオルを素早く羽織りクザンの脇を抜け、洗面台の前で顔を拭いた。 コートのようにスズをつつむバスタオルの裾から傷痕ひとつないすらりとした2本の脚が覗く。 「....。」 水滴をいくつも付けた艶めかしいその光景にクザンの目は釘付けになる。 (あの脚は見慣れてるとは言え、これは....なんとも。) 本能を駆り立てられると言いますか。 「さっさと入ってくださいね。私また入りますからねっ。」 悶々とするクザンのことなどつゆ知らず、スズはポンポンと顔にかかる髪をタオルに挟んで乾かす。 その動作のせいでバスタオルの裾は上下し、ほんの少しめくり上げるだけで彼女の丸い尻が見えるであろう状態だ。 しゃぶりついてくれと言わんばかりの脚とあと少しで手の届く尻。 クザンは脱ぎかけであったズボンをその場に脱ぎ置いて彼女にそっと近づいた。 「!」 手を伸ばせば触れられる距離まで来たとき、洗面台の鏡に惜しげもなく映るスズの肢体にクザンは目を剥いた。 引き締まる首元と対照的に丸い胸と滑らかな曲線を描く腹部。陶器で出来たような透明感のある肌が鏡の中ですら美しい。 「無防備にもほどがあるだろう!」 「ひ?!」 わああ、とクザンが両手を目に当て歓喜からくる嘆きを叫ぶと、その声にスズは驚きバスタオルを身体に巻きつけた。 「何してるんですか!つまんないことしてないでお風呂入ってきてくださいよ!」 赤くなりながら騒ぐクザンにそう言い放つ。 「そんな恰好してるほうが悪い!」 こちらに振り向いて真っ赤になっている彼女をクザンは巻きついたタオルごと抱きしめた。 「重た...。」 ずしり、と圧し掛かるように抱きつかれているため背骨がぎしぎしと悲鳴をあげている。 抱きついたまま頬を擦り寄せてくるクザンに、スズはどうにもクマのような動物を相手にしてる気持ちになった。 「恰好ったって...これはお風呂での正統な装いだと思いますが...。」 「この脚。」 「わ!」 クザンの骨ばった指がスズの太ももを撫でまわす。 「いつもこの脚ですよ...。ホットパンツ履いてるときよりうんと隠れてるくらいなのに。」 困った顔でスズは抗議するが、クザンは黙っている。 「....。」 「離してください、化粧水塗らないと。」 ぐい、と筋肉質な胸板を押しのけたつもりが、先ほどよりうんと力強く抱きしめられる。 「...スズ、抱いてもいい?」 クザンが耳元につぶやいた。 スズの肢体とこの後を考えてクザンの下半身はすでに熱を持っている。これ以上放っておけそうにない。 スズはこの状況になって初めてお腹のあたりに押し当てられた固いクザンの陰部に気が付いた。一気に顔が火照っていく。 「ッ....、もう、だから。大人しく居間にいてくれればいい、ものを...」 クザンの顔を直視できず、されるがままに彼の胸に額を擦りつけた。
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mokuji |