「お酒、まだありますか?」

「え?まだ飲むの?」

「・・・あるなら飲みたいです」

そんなに酔っ払ってるのにもう1滴も飲ませられるか!

・・・とは言えず、クザンは横に置いていたとっくりを持った。
だいぶ軽いそれをすこし横に振ってみると、全く中から音がしない。すっかり飲みほしてしまったようだ。


(・・・俺はあんまり飲んでないんだけどなァ)

いつのまにかスズが飲み進めていたようだ。



ぽてん


とっくりのほうへ気をとられていたクザンの胸に何かが当たる感触がした。


「?」

「・・・」

スズがクザンの胸にもたれかかっていた。
胸に接している彼女のおでこがほんのり熱い。

「・・・」

「のぼせた・・・?」

ぽんぽんと肩を叩いてもスズからの応答はない。


「仕方ねェなぁ」


クザンは彼女を抱きあげ、脱衣所に運んだ。

そして、艶めかしい身体をぼんやり眺めながらクザンは浴衣を着せ、洗面台傍の椅子に横たえた。

おでこに水に濡らして冷やしたタオルを置いてやるとスズが目を覚ました。

「・・・うう、」

「大丈夫?しんどくない?」

「ひ、ひの・・・き、の・・・内湯・・・」

うっすらと開いた瞼から潤んだ目でクザンを見つめる。

「・・・後で一緒に入ってあげるから、今はじっとしてなさい」

「はい・・・」

安心したように微笑み、彼女はまた目を閉じた。
残されたクザンは、彼女のほんのり赤い腕をむにむにと触ってみたり、髪を撫でてみたり、弄って時間をもてあました。


(すごく・・・気になる・・・)

(本当に傷とかないんだねェ)


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mokuji

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