Aまでの距離


この場所が心地よくてでもこの関係がもどかしくて
冗談めかして好きだと抱き付いた。悪ふざけのノリだったがそれまで1度も抱き付くような戯れ合いはしたことはなく、小突いたり蹴ったりそんなものだった。だからノリとは言えかなりの心の準備が要ったし好きだと言葉に出すのも酷く緊張した。
「あー、おれもおれも」
ふざけんなとかキモいとかそれも冗談混じりの戯れ合いの延長である言葉や態度が反って来るとばかりに思っていたのに"おれも"と呆れ半分に笑いながら抱き付くおれの背をポンポンと2度軽く叩いた
そんな態度にやっぱり伝わらねぇんだなこの思いは、なんて悲しくなりながら
「本気で言ってるんだぜ?」
なんとなく苛立ちを交えてそう言い返すときょとんとした顔を見せた後に「わかってるけど?」と首を傾げながら言葉が返ってきた

「…それってキスしてもいいってことか?」

まさかの展開に頭ん中の状況生理も出来ないままそんな事を口走った
言ってから急に恥ずかしくなり今の無しと前言撤回しようとした瞬間

「すればいいんじゃねぇの?」

何を言ってるんだ大丈夫かお前。今にもそんな心配をしだしそうな表情でユースタス屋は応えおれは更に混乱の底へ泳いで行く
え、キスしても良いの?
単純化したおれの脳は即行動へと直結させた。半ば抱き合ったままなのを良い事に緊張しながら顔を寄せ

「…」

目測を誤ったおれの初キスはユースタス屋の唇からはずれにずれて唇の端へと行き着いた。
敗因は早い段階から目を閉じたことだと、今になって冷静に働くおれの脳ミソだった。

「ん。」
「う、ん?…」

ボタンを外していた衿を軽く引っ張られたと思ったら
ちゅっ、と唇に柔らかいのが触れて目の前に閉じられたユースタス屋の瞼が見える
暫くしてユースタス屋の顔が遠ざかって数度瞬きをした

「…好きだ、ユースタス屋」
「おう」
「付き合って」
「…おう」

不思議そうに首を傾げるユースタス屋におれはまた抱き付いた。擦り寄るように身体を密着させてくる仕草におれは嬉しさでいっぱいだった






『おれら、まだ付き合ってなかったのか』

ローにぎゅっと抱き締められながらキッドはぼんやりそう思った
てっきりそう言う関係であると思い込んでいたので今まで何故ローが恋人らしい行動の一つも起こさなかったのか、やっと合点がいったのだ。
しかし、今までローの事を極度に奥手な奴なんだろうと思っていたため不思議には思っていなかったようだが。
『気持ちいいな…』
ローに抱き締められそう思いながら身体を寄せて背中に手を回し伝わる鼓動を聴いた
『すっげードクドク言ってんなぁ…』

「なぁ、ユースタス屋」
「あ?」
「もう一度キス、とか…」
「…すれば…?」

いちいち確認をとってくるローにやっぱり奥手なんじゃねェかとキッドは思い直しながらキスを待つ

「…」
「ッ…」
『…また、ズレそうだな…』

ローの緊張が伝わって来てキッドは自ら唇を押し当てた。そんなに緊張しなくてもいいのにと思う反面なぜそう思うのか自分でも理解出来なかったが
緊張してくれていることを嬉しくも思っていた。

『あと、面白ぇしな…』

未だに唇を重ねるだけのキスにうっとりと目を閉じる
今はまだこれで十分だと奥手な相手に合わせながら




---------

初々しい初々しくない以前にどっちもお馬鹿な子に…!
あと学生と言うキーワードが抜け…orz
彼等は高校生です!

一万打フリリク企画
'10-2.19UP
もひ様リクエストありがとうございましたっ




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -