「ユースタス屋…好きだ」


その時、言わば遊びの延長線におれは立っていた
良く目に付く赤い髪を重力に逆らわせ逆立てている、俺よりも幾分背の高い体躯の良い男に俺は告白をし向かい合った

「…冗談?」
「いや、本気だ」

体躯の良い男、ユースタス・キッドは俺より一つ上でつまる所学校での先輩である。
女顔をしているわけでもない、目付きは悪いし眉もない。
だが、赤い髪が更に際立つ程に白い肌が俺には赤い髪よりも印象的で、触ったらどんな感触がするんだろうと思った。
陶器のように滑らかで冷たくて硬いのだろか…

「ふぅん…本気、ねェ」

おれを見据える双眸に思わず後退りしてしまいそうだった。
おれの表情はさして変わらないはずだが…
ユースタス屋は2歩俺に歩み寄って首を傾げた

「で?」
「…で、とは?」

何を聞かれているのかわからず、思わず眉間に皺を寄せ聞き返すときょとんとした表情。

「おれはお前を嫌いじゃねェ、って言えばわかるか?」

暫く何やら考えたユースタス屋はそう切替えしてまたおれを見据えた

「ユースタス屋…好きだ。おれと、」

付き合ってくれ。
そう明確に意思を伝えれば、ユースタス屋が聞きたかったことと合っていたようで納得したようだった

「女役、どっちだ?」
「…正直、女役は考えてないな」
「そ、…いいぜ。"付き合って"やるよ」

男にしては珍しくも紅を引いた唇の端を少し吊り上げながら更におれとの間を詰めるユースタス屋
おれは動かず少しばかり高い位置にある双眸を見つめた

「お前の家?おれ、一人暮らしだから家でも構わねェけど?」
「…」
「好きだぜ?トラファルガー」



見透かされていようとも
後には引けなかった。










延長線にアル







ユースタス・キッドは1つ上の先輩だ。
目を引く赤い髪、男にしては珍しくも唇に紅を引き爪には日によって様々な色のマニキュアをつけている。

品行は粗悪。だが見た目に反しその粗悪という内容に至っても、授業や学校を無断欠席したり、軽い喧嘩の真似ごとをしたりと言うもので、可愛い問題児程度だ


…が、噂には尾鰭胸鰭が付き物で、良く知りもしない後輩のおれに届くユースタス・キッドの情報と言えば
それはもう不良の中の不良。人を殺めただのと言う全くのデタラメまで飛び交う始末



そんなある日、おれは見てしまった。

コンビニ帰り、目の端に入った赤に気を取られ足を止めた。
視線を移せば大柄の男と校内で有名な赤い髪の先輩、ユースタス・キッドが何やら言い合いをしていた。

「…うわ」

大柄の男は見るからに組の人で、噂通りの悪いことがおれの頭を過ぎる。
ここは見なかったことにして早々に立ち去ろう、そう決めたときだった

荒々しく大柄の男に壁に叩き付けられたユースタス屋は、抵抗も空しく顎を捕まれキスをされていた。

「……」

向かい側の道路での光景。
人通りはなし、たまに行き交う車
見てるだけでぐちぐちと水の音が聞こえてきそうな深い深いキス
立ち去るどころではなく目を逸らす事も出来ずそれを見ていた



暫くすると大柄の男は何事もなかったように立ち去り
ユースタス屋は壁伝いにずるずると座り込む

うなだれる、表情は見えない。
ただ、クシャクシャに降りた赤い髪が泣いてるように見えて
ユースタス・キッドが
男にキスされて
うなだれ、泣いてる
淋しげに、嗚咽も殺し

泣いてる



そう思ったら
あの、赤い髪の男に
おれも関わりたくなった




只の興味本意。

不良の先輩が、
男同士、なんて…おれには新鮮過ぎる世界。

――――――
続きます

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