中坊キッドくん もしもキッドくんが小悪魔的だったなら





「なぁ、どう?」

ひらっと踊るスカートの裾。まだまだ幼い癖に悪戯っ子のように笑う表情はどこか蠱惑的だ。
小首を傾げて見上げてくる表情は完全に狙ってやっているというのに、騙されたくなるのは男心というか、恋人心というか…。
理性が、あと少しでも休んでいたら間違いなく今この瞬間にも押し倒して貪っていたであろう。年下の恋人から目を反らして、ため息を零した。

「なんだよー!」
「なんだよー、はこっちのセリフだ…なんだその格好は」

おれが呆れたのだろうと思ってぶすくれて尖る唇。ああ、その不機嫌そうな顔も可愛い…そんな風に思うのは、惚れた弱みだろうか。
確かに呆れもするのだが、それ以上に、休ませていた理性をたたき起こして総動員させるこの苦労と言うかなんというか…。
おれの恋人は14つ年下で、男の子だったはずだが…今日は彼が通う中学校の女子の制服に身を包んでいた。
夏用の女子のセーラー服、膝上十数センチのスカート丈。黒のハイソックスは脹脛の緩やかな曲線を際立たせていた。あざとくも内股気味に仁王立ちする足に、胸元で組まれた腕。膨れた頬…恋人の贔屓目ではなく、こんな格好して外なんか歩いていたら本当に心配になってしまうほど、可愛い。

「女子の制服」
「そりゃあ分かるが…。なんだってそんな格好してるんだ?」
「ダチの姉貴の着てたやつ、なんかもらった。いらねェって言ってたから」
「はぁ…それで?」
「…折角だから着てやったのに!なんだよその反応ッ」
「あのなぁ…」

気のせいだが頭が痛くなりそうだ。煙草を取り出し咥えながら改めて足元から恋人の格好を見る。ここが自分の家か、もっと別な場所だったのならと思わなくもない。しかし残念なことに背景は見慣れた専務室だ。

「お前、まさかその格好でエントランス抜けてきたとか言わねェよな?」
「まさか。そんなんするわけねェじゃん…ここに来てから着替えたに決まってんだろ」
「だよな…」
「なー。…似合わねェ?」
「…」

似合ってる。まだ成長し始めの身体には女子の格好してたって着こなしてしまっているのが性質が悪い。裾から覗く白い太腿やスカートに隠れた部分についつい目が行ってしまう。

「ローおー」
「こら、火ィあぶねェぞ…」

女装してても真っ平らには変わりない胸を押し付けるように身を寄せて来る恋人に嬉しく思いながら火をつけたばかりの煙草を気にして少しはぐらかした。片腕にまだまだ華奢な腕が絡みついて構われたいんだと引っ張ってくる。

「似合ってる…可愛いよ」
「この格好の方が好き?」
「そう言ってほしいのか?」
「イヤ」
「なら聞くなよ…おれは」

言葉を遮る様に外側のドアが開く。ここにノックもなしに入ってくる人物は限られているのだが、だからこそまずいんだ。

「おい、ロー…。フッフッフッフッフッ…!仕事サボって会社に可愛い子連れ込むたァいい度胸じゃねェか!」
「ドフラミンゴ…」
「ドフラ」
「よぅ、カワイコちゃん。そんな面白くねェ男よりおれにしねぇかァ?」

部屋に入ってきた途端、一瞬目を瞠ったものの直ぐにセーラー服の子が誰だかわかったらしく下卑た笑みを携えながら寄ってきた。
軽々しく薄い肩に手を回し抱き寄せ頬摩りをする。

「フッフッフッ。似合ってるぜェ…ローの趣味か?」
「冗談はやめてくれ…そんな趣味はねぇよ」
「14も下の餓鬼に手ェだしといてそんな趣味がねェなんてなぁ。嘘つくんじゃねぇよ、なぁキッド」
「ドフラ、鰐ももう帰って来たのか?」
「おう。直接向こう(社長室)に行った筈だぜ」
「おれ学校のプリント渡してくるっ」
「ちょっと待てキッド!お前その格好で…」
「ワぁニーっ」

学生鞄を引きずりながら続き部屋の社長室へ行くキッドを止めそこなった。隣で相も変わらずニヤニヤと嫌な笑みを浮かべているドフラミンゴに舌を打つ前に向こうから声が聞こえてきた。

「キッド!?てめぇなんだその格好はァ…!?」
「女子の制服!」
「んなこたァわかってる…!…っロー!!」

やはりこちらを向いた矛先にどっと疲れが押し寄せる。酷く理不尽だ…。




社長…クロコダイルに延々と小言を垂れられた。おれの恋人でもあるがこれはお前の息子でもあるんだぞとの口答えは、しかしながら飲み込んだ。
唯一つ、おれが女装させた訳ではないというのだけはなんとか弁解し帰路についている。自分の運転する車の中。

「…怒ってんの?」
「いいや…怒ってはねェさ」

こんなことでは怒りはしないが社長で恋人の父親って相手に説教されるのは、おれであってもいろいろ精神的に堪えるものがあるのだ。
チラ、と助手席の恋人を見れば未だ女子の制服を着こんだまま。終業し、まばらにしか社員がいないとは言え社内を連れ歩くにはなかなかの背徳感を味わった。

「本当に怒ってねェからそうしょげるな。台無しだぞ」
「うん…」
「その格好も似合うが、おれはお前が好きなんだ。だから…女の子がいいってわけじゃない」
「…」
「ドフラミンゴに邪魔されて言えなかったことの続きだ。わかったか?」
「うんっ」
「だが、まぁ…脚でてるのもそそるもんだな…いって!」

ハンドル片手に、空いた手でスカートの裾と太腿の堺を撫でる。ペシッと音を立ててその手を叩かれ、おれはしぶしぶと引っ込めた。

「運転中!あぶねェだろっ」
「赤信号で止まってる間なんだから危なくねェよ…スカート、長くも短くもなくていい感じだな」
「おれもっと短いのがいい」
「パンツ見えるぞ…ん?お前パンツなに穿いてんだ?」
「フツーの。ローのくれたやつ」
「ピンクのキャンディー柄か?」
「それじゃなくて、みどりに星とかの」
「ああ…」

思い浮かべながら、もう一度横目で恋人の姿を見た。

「あーっ!まっすぐ帰って来た…」
「ああ?どっか行きたかったのか?」
「ドライブ…行くと思ったのに」
「あのなァ…その格好のお前連れてこの時間にどこ連れて行けるんだ。すぐ職質かけられるぞ」
「お迎えって言えばいいじゃん」
「お迎えねェ…」

あれこれ適当な言い訳を考えようとしている恋人には悪いが、もう目の前におれの住むマンションが見える。ウィンカーを出し、右折して地下の駐車場に入った。

「もー。ローが兄ちゃんってことにしてさ…」
「…もう一回言ってみ?」
「だから、ローがおれの兄ちゃんってことに……」

むー、と尖っていた唇が一瞬にして弧を描く。そして機嫌を取るような笑顔に変えて、おれの方に向きなおった。

「ロー、お兄ちゃんっ」
「素敵な笑顔付きで大変よろしい。が…お家に到着しましたよ、キッドちゃん」
「チッ…!」
「舌打ちなんて可愛くないぞ。フフ…だいたい言うのが遅ぇ。ドライブは明日連れてってやるから今日はもういいだろ?」
「デートしたかったのに…」

車から降り、未だ降りようとしない恋人に苦笑しながら助手席側に回りドアを開けてやる。
手を差し出すと渋々と手を取り漸く車から降りた。

「お家デートで我慢してくれ。家の中ならいくらでもその格好で居てくれていい」
「帰ったらすぐ脱いでやるッ」
「スカート脱がしてやろうか?あと靴下も」
「へんたーい」

わざとノロノロと重たい足で歩く恋人の手を引きながらエレベーターに乗り込み、ぐだぐだと文句を垂れているのを聞き流す。なんだかんだと言ってしっかり手を握り返してくるので恋人の機嫌は悪くなく、良い方だろう。
家の中へ入ると恋人は勝手知ったる部屋のソファに俯せに寝転がった。

「…スカートも意外と捲れねェもんだな」
「あれ?いま絶対捲れたと思ったのに」

恋人は顔だけ振り返りながら自身の尻を見ていたが、スカートはしっかり尻を隠していた。
脹脛の靴下の淵から太腿へ指滑らせてスカートの中まで潜らせる。足の付け根当たりに下着の裾があり、そのラインを指でなぞった。

「いい脚だ…」
「さわり方、やーらしいぜロー」
「やらしく触ってんだよ」

少しだけスカートを捲ると、先ほど言っていたように明るい黄緑地に星が散りばめられているボクサーパンツのショート丈を穿いていた。

「うーん…見様によっては生理パンツっぽくていいかもしれねぇな」
「バーカ」
「可愛くないことを言うのはここの口か?」
「!っ…まじでバカ!」

尻の狭間の窄まりを、下着の上からぐりぐりと押してやる。口≠ネどと比喩したからか恋人は真っ赤になってクッションを投げてきた。寝転がりながら投げたそれはおれの頭上を越えた向こうに転がり滑って行った。

「ああ、こっちは素直な方の口だったな」
「やっ、ンん…ッ」
「ヒクヒクして指銜え込もうってしてるな…でもパンツが邪魔でこれ以上は無理だ」
「や、あ…いじわるすんなっ」
「さて、どうしようかな?」

秘部から会陰に指を行ったり来たりさせながら、ちゅっと高い音を鳴らし太腿の裏に吸い付く。白い肌に鬱血した痕が綺麗に付き良く映えた。

「もーっ!さっきはなんもしなかったクセにっ」

キッと吊り上った目で睨むと、恋人はわたわたと身を起こしておれの手から逃げた。ソファに膝を抱えて座り、更にジト目で見てくる。

「さっきって、会社のことか?」
「興味なさそうにしてた!」
「仕方ないだろ…おれはあそこには仕事でいるの。遊んでるんじゃねェんだ…あんなところで社長の息子に手を出すわけにいかないだろ?」
「だって」
「だってじゃない。我慢するこっちの身になれよ」

膨らむ頬を軽く抓み、おれは苦く笑いながらスーツを脱いで恋人の隣に座った。煙草を銜えて火をつけようとすると横から伸びてきた手に煙草を奪われる。
なんだ、と恋人の方を見ると小さな唇がおれの上唇を食んだ。

「…、ん」
「今は、ガマンしなくてもいいんだろ…?」
「キッドが触らせてくれるならな」
「…さわっても、いい…」

テーブルの上に奪った煙草を放り投げ、恋人が膝に跨ってくる。首に抱きついて熱烈なキスをくれる恋人の背を支えながら、手に持っていたライターを恋人の背後にあるテーブルに滑らせた。
可愛らしくチュ、チュッと吸い付いてくる唇も可愛いが、誘うように口を開けてやるとそろりと小さな舌が歯列を舐める。
ままごとの様な拙いそれに愛しさを感じながら、暫くの間恋人が積極的にしてくれるキスに甘えていた。

「ぷはっ…」
「ん…、おわりか?」
「舌、疲れた…」
「ふふ…まだ、もう少し頑張れるようになるといいけどな」

赤く染まった頬を撫でてやると悔しそうに唸り、恋人は口を尖らせた。宥めるように尖った唇にキスすると、首に絡んでいた手が肩を掴み、ぐっと体重を乗せて来る。
上から抑え込むように唇を押し付けられ、まだ体格差があるのでそこまで重さは感じないがおれは身体をずらし、ソファに仰向けに倒れこんだ。
肩を押さえつけられ、唇を割って入ってくる舌が先ほど以上に口腔を荒らしてくる。必死、と言うよりも躍起になって動き回る舌は色気なんて二の次の様でつい笑いそうになってしまった。

「ンっ…ふ」

むきになって動く舌も悪くないが、宥めるように頭を撫でながらその舌に自身の舌をねっとりと絡ませる。上顎を舐めるとぶるりと腰を震わせた。

「あ…」
「キスで気持ち良くなったか?」
「ロー…」
「スカート持ち上げてみろよ」

促せば両手でスカートの裾を持ち、腹部の上までまくり上げる。生理ショーツの様だと揶揄した下着を、立ち上がった性器が押し上げていた。
胸元は平らで、腹も薄っぺらく筋肉もそれなりに乗っているがなかなか絵になる。

「やらしいなァ」
「ロー、ソコばっか見てる…」
「先っちょ染みになってんぞ?」
「だって…」
「パンツ、横にずらしてちんちん出してみな」
「ん…こう?」

手探りで寄せたクッションを背凭れにし、少し上体を起こす。恋人が腹の上に跨り痴態を起こす姿がよく見えた。
言われたとおりに下着の際を引っ張り、片側から育ちきった性器を覗かせる。まだ色の変わりもないそれがフルフルと震えていた。

「自分で触ってみろよ…おれは後ろ触ってやるから」
「あんっ…やぁ、こっちもさわって…」
「いいだろ?自分でするのして見せてくれよ…キッド」
「うー…うー…、じゃ、ローのも見せて」
「…おれの?」
「おれだけ見せンのずるいっ」
「……、よし。わかった…もう少し下に座れ」

下腹部に座る恋人に尻の位置をずらしてもらい、ベルトと、スラックスの留め具を外してジッパーを下げる。その様子を興味深げにみる恋人の視線を感じながら、下着を下げて緩く立ち上がる自身の性器を引っ張りだした。ごくりと恋人の喉が上下する。

「少し尻上げて…」
「は…あ…」

唾液で濡らした指を下着の際から差し込んで尻の狭間を摩る。襞に唾液を摩りこみ解かしていく。
従順なソコは指一本なら直ぐに迎え入れ、浅い部分で抜き差ししてやる。恋人の秘部を解かしながら、おれは恋人のお願い通りに手淫を見せてやった。
茎を摩り、カリ首を軽く揉みながら自身を育てていく。

「ほら、お前も手ぇ動かせよ」
「ん…ふあ…はぅ…」
「イクのはまだ我慢しろよ?」

恋人はキスの時から反応を見せていたせいか、尻も一緒に触っているからか所謂、我慢汁で性器の先をべとべとに濡らし、自分で擦る度にくちゅくちゅと濡れた音をさせていた。
深く入れた指で前立腺を押してやるとプクプクと年度の高い透明な愛液が性器の先から滴って糸を引いた。

「気持ちいいか?」
「ふ…う…きもちい…ん…んんっやあ…ロー」

恋人から垂れたカウパーを指で掬い、おれ自身の性器に乗せ亀頭に塗り広げた。
恋人は自分の汁がおれの性器に塗り広げられるのを見て顔を真っ赤に染めて、またカウパーを溢れさせる。

「ふふ…ぬるぬるして気持ちいな…そんなに垂らすなら、おれのにかけてくれよ」
「へんたいぃ…やっなんで、そんなことするんだよぉ…ッ」

恋人の目によっぽど卑猥な行為として映ったのだろう。だがしかし興奮を煽るのには十分すぎたようでヒクヒクと戦慄く秘部が指を食い絞める。
恋人は性器を握りしめたまますっかり固まってしまい、おれが恋人の尻を解かす微かな音と、ぬめりが増して鳴り響く手淫の音が部屋に響く。

「なに恥ずかしがってる…お前の出したのでおれが気持ちよくなってるんだぞ?」
「や、う…でもっ」
「ン…ほら、おれのもベトベトに濡れてきた…」
「…あ、う…」
「触っていいんだぜ?お前の恋人のだ」

物欲しそうにおれの性器を見つめ、興奮に息を荒げている。淫らな表情の恋人に欲を煽られながら誘うようにゆっくりと手を上下させた。
そろりと伸びてくる、恋人自身のカウパーに濡れた指先がおれの性器の先に触れる。

「ロ…ぅ」
「うん?」
「もう…これ、ほしい…」
「たまにはお前が上になるのもいいかもれねぇな」
「…?」
「自分で上に座ってみな」

反り返って腹に付きそうな自身を手で垂直に支えて見せる。意図することが分かったのか、恋人は恥ずかしそうにしながらふらりと立ち上がって、おれの腰を跨ぐ。恋人の太腿は垂れたカウパーが部屋の照明でてらてらと光って見える。
ゆっくりとしゃがみ、恋人の尻に自身の先が触れ、位置を探る様に腰が揺れた。

「ん、ん…」
「ッ…そのまま座ってみろ」
「〜ッ…あ、ぅ」

括約筋を押し開き、恋人の中に自身が収まった。ひくひくと波打つ内部が心地いい。
恋人の色鮮やかな毛先を濡らす汗の滴が腹の上に降ってくる。頬に伝うそれを掌で拭ってやると頬をすり寄らせてきた。

「痛くしなかったか?」
「ん、ちょっと…だけ」
「まだ痛い?」
「へいき…」

よく慣らしていても少しのことで傷つきやすい場所だ。今は少し無理に入れた気もしたので少し痛みがあったのだろう。一瞬顔を顰めたが切れてもいないし大丈夫そうだ。
それよりも、がくがくと震えている太腿の方が心配になる。

「キッド?」
「っは……ろ、…出しちゃった…」

恥ずかしそうに困った顔で恋人はスカートをたくし上げた。スカートにべっとりと付く白濁と、恋人自身は零れた残滓で汚れていた。

「フフ…そんなに興奮してたのか?」
「うー…」
「おれに八つ当たりしたって出したのはキッドだろ…?ほら、今度はおれのを出させてくれよ」





おれの上で懸命に腰を跳ねさせている恋人を下から眺める。パチンパチンと肌のぶつかる音が最初は一定のリズムで高い音を鳴らしていたが暫くもすると不規則になり鈍い音に変わってくる。

「あ、あっあっ…ロ、お…も、動けない」

目に涙をためて、代謝がいいからか大量の汗を流しながら訴えてくる。上に乗り、好きに動いていた恋人だがわざとイイところから外し自分を焦らすということがまだできない様で、目先の快感を追うあまりに感じる部分を只管摩っていた。達してはへたり込みそうになる身体を、おれに促されて必死で揺らしていたがもう限界のようだ。
気持ちいのだが、達する前に度々恋人の腰使いが止まってしまうのでおれはなかなか達せずにいた。

「次はお前にもいろいろ教えてやらねェとな…」
「ふ、ぅ…?」
「これじゃ何時までも生殺しになっちまう」

おれの苦笑する理由がわからず、恋人はのぼせた表情で首を傾げた。寝転んでいた体を起こして対面座位になると恋人は首回りに抱きついてくる。

「スカートびしょびしょだな…」
「洗濯機で洗える…?」
「洗えるとは思うが、一度手洗いしてからの方がよさそうだ」

セーラー服の上を胸元まで捲り、汗に濡れた突起を舌先で転がしながらゆさゆさと下から突き上げる。勿論、恋人の好きなところをわざと避けながら浅く早い律動で。
長いこと恋人の中にいたので、自分を追い詰めるのにそれほどかからなかった。
最後に恋人の好きなところを執拗にせめてきゃんきゃんと甲高い声で喘がせながら2人で高みに上り詰める。
この後、どうせすぐに風呂に入るので恋人の奥深くにたっぷりと熱を注いでやった。




「もー…自分でするって言ったのに」
「いいじゃねぇか…よし、綺麗になった」

恋人と風呂に入ってから、さっそく汚れた恋人の下着とスカートを手洗いすることにした。
恥ずかしいのか自分ですると言って、恋人は洗面台に立つおれの腕を引っ張ったり、腰に抱きついて洗面台から引き離そうとしていたが、遠慮するなと言い聞かせ妨害の数々は無視をした。
馬鹿とか変態とか悪態が飛んできたがそれも聞き流すと次第に大人しくなり、今は腰に引っ付いている。
おれのワイシャツやズボンにもところどころ染みを作っていたのでそれも洗い流しておいた。洗濯機には入れられないので後でクリーニングに出すつもりだ。
恋人の下着と、セーラー服の上下は洗濯機で洗う。もらい物だし着古したそれだ。自宅の洗濯機で洗ってアイロンを掛ければそれなりになるだろう。

「いつまで拗ねてんだ?お前が初めて夢精したのだっておれが…」
「わー!もうっ!!バカ!なんでローはそういうことばっかり言うんだよっ」
「なんでって…」

楽しいから、とは流石に今言ってやると余計拗ねそうだ。洗濯機を稼働させて、腰に引っ付いたままの恋人を引きずってリビングへ行く。そのまま、ソファーに座る。勿論恋人が後ろに引っ付いているので潰さないように加減しながら凭れた。

「明日、女の子の服でも買いに行くか?パンツとか、スポブラとか」
「それじゃ変態じゃん…」
「なんだ。女装したかったんだろ?」
「ちげぇし…女のカッコしてたら、ローと外で手…繋いでもおかしくないから」
「…そんなこと気にしてたのか?」
「だっておかしいだろ…手ぇ繋いで歩くような歳でもねぇのに、男同士で手つないだら」
「フフッ…ま、おれはどっちみち、中学生と手ぇ繋いでたら周りから可笑しな目で見られるけどな」
「ローっ」
「はいはい、悪かった…からかわねェよ」

恋人なりに真剣に考えた結果なのだろう。からかえば背後から厳しい声が非難を浴びせてくる。
胸元に手、腰に足がしがみ付いて、背中にぐりぐりと頭を押し付ける。不安なのはわからないでもない…でもこうやって不安がっている年下の恋人だからこそ、余計に離し難いのだ。
精々、今のうちにいっぱい不安がっていればいい…大人になれば、逆におれを振り回して不安にさせるようになるんだから。


「ロー、最近ドフラミンゴみたいな意地悪になってる気がする…」
「…おい、止めてくれ。今すごく傷ついたぞ」

不貞腐れた声が思わぬ言い返しをしてきた。ドフラミンゴみたいだなんて冗談じゃない。
おれは思わず顔を顰めて恋人を振り返った。
さっきまで不貞腐れていただろうに、もう小憎たらしくニヤニヤと笑っている。

「ローもだんだんドフラミンゴみたいになるのかなぁ?イヤだぜそんなローなんて」
「よせっヘンな想像するな!おれはあんな風にはならねェよ」

仕返しのつもりか?と目を眇めればケラケラと声を上げて笑い出す。
明日は本気でスポーツブラとショーツでも買ってやろうかとおれは思うのだった。




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あざといキッドくんを書きたくなったので。
中坊キッドシリーズのキッドくんのもしもエピソードでした。



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