社会人ロー×中学生キッド
甘い。キッドが幼いです。
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「今度の3連休中、日・月休み取ったから土曜の夕方からでも来ればいい」

此所のところ仕事が立て込み、なかなか会う事が出来なかった。
残業もあったりで、それを理解してか年下の恋人は一つの我儘も言わずにいてくれた。
逆に、我儘や淋しいの言葉も言われなかったことが淋しいと思うのはいけないことだろうか。
必ず毎日メールや電話をしていた俺の方が余程だろう。でも律義に返ってくるメールやぽつりと話されるその日の出来ごとに、押し殺された我儘や言葉が隠れてるような気がした。



「…キッド?」
「あ、…わ、かった」

電話越しに、恋人の戸惑いが伝わってくる。
はっきりしないような返事に訝しむがどう追及したものか。

「…土曜は都合が悪いか?」
「…、…ううん、別…に」

休みが取れた、と言った時にははしゃがないまでも嬉しそうな声が聴けていたのに。
急にまるで困ったように吃り出す恋人が気になるが、まだ今この時も俺は仕事中だった。休憩の合間にいち早く休みを告げたのだが。

「…悪いな。まだ仕事中なんだ…また夜に電話するよ」
「ん。じゃあ…」
「土曜、無理なら言えよ。日曜も月曜もあるんだ」
「うん―‥」

少し後を引きながら通話を終える。
たまに素直に大きなオネダリ(ウン万円のヘッドフォンや遠出のドライブ)をするくせに、妙なところで我儘や言葉を言わない恋人だ。
統計的に前者は欲しい(けどどうでもいい)もの、後者は一番欲しい(けど言いにくい)ものだとおれによる調べがついているのだが。

「…さて、今回はなんだ…?」





楽しみにしてた土曜になった。
俺は楽しみだったがこの日になるまでの数日、メールも電話も恋人は相変わらず何処か悩み、歯切れが悪かった。
そして、夕方前。仕事を早く切り上げて恋人の家に迎えに行く。

「やっぱ、なんか隠してんだろ?どうした」

恋人に迎え入れられ、恋人の自室へと向かう。来るのは久々だが殆ど変わりはなかった。
そんな部屋を見回しつつ、何処かもたもたと準備する恋人。そのくせ、時間が気になるのか時計をちらちらと見ていた。
こんな風でいて何もないわけがないだろうと、少し真面目に向き合わせた。

「キッド。ちゃんと言えよ…そう言う態度取ってると俺は気分が悪い」
「ぅ…で、も」
「いいから。言ってみろ…。何に悩んでる?」
「………」

顔を覗き込むと観念したのか、目を逸したまま学習机の上に乗せていた紙切れを取り俺に見せた。

「…?…ライブのチケットか」
「キラーと約束してて…この前、車ん中でCD流してただろ?あの…」

日付は今日、18時30分開場と書かれたチケットを見る。
確か一部のニュースやCMで滅多にないようなコンサートだと宣伝していたものだ。
興味のない俺がこのくらい知っているのだから、チケットが手に入ったのは運が良かったのだろう。

「おれが行くなって言うと思ったのか?」
「だって、いい顔はしねェだろ…」

すっかりしょぼくれてうなだれている恋人の頭を撫でる。
「けど」と続く言葉を聞くために黙っていると微かに顔が持ち上がった。

「…が、トラファルガーが…休みだって」
「…?」
「う、うれしかったのと…でもライブも…あって、まよって…」
「あぁ…」

羞恥に堪えながら紡ぐ言葉は聞き取り難く、半ば滅裂だ。
しかし…よく分かった。
どうやら、俺が暫く振りの休みを取ったことは本当に嬉しかったようだ。それこそ天秤にかけて傾く程に。
これが普段だったならば、きっと迷うことなくライブへと行っていただろう。俺が良い顔をしなくとも、行くなと言っても、絶対行くんだと飛び出して行ったに違いない。
恋人の色鮮やかな髪から、これもまた、赤く色付いた耳が見える。
俺のワイシャツを皺になるほど掴みながら胸に顔を押し付けてくる様はなんて可愛らしいのか。

「なぁ、キッド…お前まだ知らなかったのか?」
「…、なにを?」
「お前の恋人は、お前のお願いだけは絶対に断れねぇってこと」

リップ音を立てて熱い耳にキスをすると薄い肩が跳ねる。
そして直ぐに見上げて来る、先程までとは違い丸く見開かれた瞳がキラキラと輝いて見えた。

「…、ライブ行きたい、ライブ終ったら、トラ……ローの家に行きたいッ」
「…20点だな」
「っ!?」
「会場まで送って、帰りは迎えに来て…くらい、言ってくれよ。それとキスも付けてくれたら100点花丸なんだがなァ?」

ん?と顔を覗き込むとまだまだ華奢な腕が首肩に回り、可愛らしく重なるだけのキス…、かと思いきや、大胆にもぺろりと唇を舐められた。

「…お前…ライブ行かせたくなくなるだろ…」
「!い、嫌だ!もう絶対行くんだからなっ」
「フフ…はいはい、分かったよ。なら早いとこ準備しろ。荷物は先に持ってってやるから。そうしたほうがライブ終ったあと直ぐ俺ん家に来れるだろ?」
「うんっ!」

素直な笑みを浮かべて、慌ただしく支度を始める姿についつられて頬が緩んでしまうのは仕方がない。
思わず無防備な腰回りや、その身体ごと抱き押さえてイタズラをしてやりたくなるが…今晩まで我慢してやろう。





「終ったら電話しろ。終る頃に来るようにはするから多分待たせねぇ」
「うん」
「ちゃんと迎えに行くから、会場の敷地から出るなよ」
「わかった」

コクコクと素直に頷く恋人は、同じくライブ目当てだろう人達がゾクゾクと集まる会場を前にそわそわしているようだ。
此所に来る前に軽く腹ごしらえをさせて来た。俺はともかく恋人を空きっ腹で行かせるのは良くない。それから会場近くの駐車場に車を置き、共に会場まで来た。
今日、演奏するアーティストを真似ているのか派手なナリをした奴らがあちこちにいる。
因みに、恋人も慌ただしく爪を染め(ついさっきまで依れないか気を使っていたが今はもう完全に乾いたらしい)髪も気合いを入れていじっていた。
また今からそこで売られるライブグッズを買い楽しむのだろう。

「キラー!」
「キッド!良かったな、来れて」
「おお!」

『ライブ行けるようになった』と恋人はあれから友人に知らせ、待ち合わせを決めていたらしく無事に会うことが出来た。
恋人の友人は俺に気付くと軽い会釈をし、それからキッドと嬉しそうに笑い合っていた。

「それじゃ、俺は一旦帰るが…。2人共楽しむのはいいが周りに気をつけろ。変なのがいるかもしれねぇからな」
「ん」
「はい」

本当ならまだくどいほどに言葉を重ねたいがあまり言うと反発心が大きくなるだろう。
過保護振りたいのを堪えて俺は早々に引き上げることにする。
しばしの別れを済ませると肩を並べて人だかりへと行くあどけなさの残る2人の背中を見送ってから俺は今からどう時間を潰そうかと考えた。




「おっと、そろそろウチの王子様を迎えに行く時間だ」
「あら?王子様をこんな時間まで遊ばせてるの?過保護なアナタが珍しわね」
「今日は特別だ。シャッキー、頼んだのは出来てるか?」
「モチロン。彼の好きなものいっぱい詰めたわ。王子様に宜しく…、たまに連れていらっしゃいよ」
「昼間なら、な」

買い物を済ませて一度自宅に戻り、恋人のお泊まりセットを置いてスーツからラフな格好に着替えた。
中途半端に待つには長く何かするには短い時間を潰すのは少し難儀だが、それでも雑用や何かしらしていると時間は経ち、もう1時間程になると家を出て馴染みの店へ出かけた。
酒を楽しむ店だが、料理も美味いので夕食がてらに時間を潰したのだった。

「…丁度良い時間だったな」

会場近くに乗り付けて暫くすると携帯が鳴る。メールで来た知らせにメールで返すと車を降りて外で再び待つ。
だらだらと出て来る人の波を見ながら目を凝らす。すると見知った影が満足気に、まだライブの余韻を纏わせながら走ってきた。

「ふふ…、最高だったか?」
「ああ!」

汗でヘタレた髪を梳いてやりながら聞くと恋人にしては珍しく可愛い笑顔を振る舞ってくれた。
今日買った物だろう肩に掛けたフェイスタオルの両端を握り締め、その左手の手首にはタオルと同じようなロゴの入ったリストバンドが着いている。

「キラー屋はどうした?」
「あいつも、迎え来たから大丈夫」
「そうか。ならもう帰っていいな?」

助手席のドアを開けて恋人を乗せ、自分も運転席へ乗り込む。
同じような迎えと思しき車や人の歩みで混合う会場周りを、特に急ぐ迄もなく抜けていく。

「冷房効き過ぎてねぇか?もう汗冷えただろう」
「んー、ちょっと」

汗に濡れたシャツや髪が冷房で冷やされた頃だろう。
送風を弱めてやるとそれでも直接当る風が冷たいようで送風口を明後日の方に向けていた。

「で、どんなもんだったんだ?とても満足そうなお顔をしておりますが」

丁度掴まった信号でギアをパーキングに入れ、助手席に視線を移す。ここの信号は長いので暇を潰すがてらに恋人の髪を撫でつつ今日のライブのことを聞いてみる。
汗が乾いた髪は整髪料も相俟ってパリパリした触り心地だが、腹いっぱいに楽しんだのだろうと思えば愛しい。
俺からライブの話題を振れば恋人は嬉しそうに話だす。
興奮の余韻を引摺ってか半ば順番の前後したライブ中の出来事を、車が走しりだしてからも相槌を打ち、たまには深く聞いてみたりしながら会話を楽しんだ。
正直、あまりわからない音楽やアーティストの話だが恋人が話すことなら面白い。なにより、おしゃべりな恋人は可愛かった。

「アンコール3曲あったし、新曲も初披露だったんだぜ!」
「へーえ…また買うんだろ、CD」
「あたりまえだろッ!予約しねェと」
「いつも思うが…わざわざ予約買いしねぇといけないのか?」
「発売日に買えなくて在庫切れたら嫌だ」

そんなもんか…と思う。今や初回生産盤も楽にネットで買えると言うのに恋人はかたくなに好きなアーティストのCDは店で買っているらしい。まぁ、その店限定でのおまけでポスターやらグッズが貰えるらしいからメリットはあるんだろうが。



自宅マンションに着き、恋人も俺もどッと押し寄せる疲れを自覚した。
恋人は満足疲れで、俺は完全オフ状態に切り替わったからだ。丸二日間、仕事を忘れて羽を伸ばそうと決めている。

「うー、疲れたぁっ」

でもサイコーだった、とソファに突っ伏しながらご機嫌にしている恋人に笑いながら、弁当箱サイズの竹籠を差し出す。

「腹減ったんじゃねぇか?シャッキーがクラブサンド作ってくれてる」
「マジッ!?」

嬉しそうにさっそく籠の蓋が開けられる。冷めてはいるが詰め込まれたそれらは変わらずに美味そうだ。
インスタントだが温かいポタージュを作ってやり傍らに置いてやる。

「ゆっくり食えよ。風呂入れてくる」
「入浴剤っ」
「何がいいんだ?」
「ほへは、まはへる(それは、まかせる)」
「フフ…はいはい。トマト落とすなよ」

頬袋を作って幸せそうに食べる顔を眺めてから浴槽を軽く洗い、湯を溜める。
お湯の出る音を聞きながら何種類かある入浴剤の中から適当に選ぶ。
これは、恋人と一緒に湯に浸かる時の必需品とも言えた。一緒に風呂に入ってはくれるが、透明な湯に浸かる身体が見えるのが恥ずかしいらしい。
濁りに隠されるのは少し残念だが…まぁ、一緒に風呂に入ってくれるだけ良しとしておくか。





「はぁ…」

おれの膝に座り胸元に凭れ掛かる恋人を抱き抱えて、たっぷり湯を張った湯船に浸かる。
くたりと肩に頭を預け心地よい溜め息を零した恋人の頭に頬を寄せ自分も疲れで強張った身体の力を抜いた。

「…疲れた?」
「仕事にな。お前の顔見なきゃ疲れなんてちっとも取れやしねぇんだぞ」
「疲れ、取れるのか?休みの日とかおれ…普通は邪魔とか思わねぇのかよ」
「なんで?」
「え、なんでって…せっかくの休みなのに…」
「逆にな、お前と会えなきゃ疲れは溜まる一方だ。仕事中もイライラするし…イライラしだす度にお前に電話を掛けるんだぞ?緩和されるからな」
「は?機嫌いいからじゃ…」
「まぁお前と電話が繋がった瞬間に機嫌は良くなるんだが」
「…お前おかしいぞ、多分」
「年上の恋人にお前って言わない」

悪い口への仕置と称して顎捕らえて少し顔を後ろへ反らせるとちゅ、と唇を啄んでやる。下唇を食んでやればむうっと口を尖らせた。

「さっきから、お前お前って言うのはローだろっ」

ばしゃっ、と湯を跳ねさせながら恋人が身体ごとこちらを向く。
肩に手を付き、向かい合わせになるとジッと視線が絡まった。

「キッド」
「…電話も、メールも…忙しいなら、要らない。毎日してくれなくてもおれは…」
「おれがしたいんだって言ってるだろう?気に掛けてくれるのは嬉しいが、ここ最近お前から先にメールが来た試しがねェ。おれがどれだけがっかりしたか分からねぇだろ」

発育途上の薄く細い胸板に顔を埋める。
すると恋人が頭ごと抱き込むようにきゅっと首回りに抱き付き、ついでに太腿が胴を挟んだ。しがみつくような体勢だが、好いた相手にされるのはなかなか扇情的だ。

「だって、仕事…」
「お前だって暇だったり、勉強すんの嫌だったり飽きたりしたらおれの声聞きたくならねぇか?」
「……」
「ならないなんて意地悪言うなよ?」
「…なる」
「ふふ。それと同じだ」

埋めていた顔を上げて目を合わせる。膝の上に座らせているので恋人の目線は自分より少し高い位置にある。
見下ろされるもの悪くないなと思っていると首に回っていた手がゆっくりと頭部を撫ぜて、鼻先を柔い唇で食まれた。

「……今度からちゃんと…メールも電話もする」
「そりゃあ嬉しいな…心待ちにしとこうか」

近いところにある顔を、そっと後頭部に手を添えてもっと引き寄せる。鼻先が触れ合えば恋人は んっと目を閉じて間も無く唇が重なり合った。
鼻から抜ける小さな甘い声が浴室に響き、耳が心地いい。

「ん…ん…」

積極的にキスしてくれる恋人にリードを委ねる。拙いのに大胆な唇が舌を食み華奢な指がおれの髪をくしゃりと掴む。

「のぼせっちまいそうだ…」
「はふ…、でも、きもちい…」
「そうだな。もっと気持ちよくなろうか?」
「ん…」

胸を摩り、小さな粒を転がしてやると悩ましいため息を零す。こういう表情は大人顔負けの酷く官能的な顔だ。
脇に手を差し込んで抱き上げる。もう数年もするとこういう風に抱き上げるのも容易ではなくなるだろうと思うと淋しい気持ちにもなる…今のうちにしか出来いないことは思う存分やっておかないとな。
浴槽の広い淵に降ろし、壁に背を預けさせる。お湯でピンク色に仕上がった肌は健康的な張りとツヤをもって水をよく弾いた。
開かせた足を肩に乗せて胸や腹部をパクパクと食んでやると、ふふ、と小さな笑声が上がる。

「こうやって、どうせ全部見せるんだから入浴剤なんていらねェと思うんだけどな?」
「ヤダ。だめ」
「…。なんで」
「だってよ…」
「うん?」
「ぅ…恥ずかしいっ」
「…この格好は平気なのにか?」

恋人ことが理解できず、思わず盛大に首を傾げててしまった。 煌々と灯る明かりの下で開かせた足の間を惜しげもなく晒した格好をしながら何が恥ずかしいと言うのだろうか。

「ローの!見るのが恥ずかしいんだよッ」
「おれのォ?」
「う〜!」

余程恥ずかしいのか、両の掌で顔を覆って隠す恋人は湯中りの所為ではなく顔や耳を真っ赤に
している。真っ赤になった顔を晒すのは恥ずかしいのに下肢を晒すのには抵抗がないとは、また面白い。

「人のを見るのが恥ずかしのか?」
「ローのを見るのが恥ずかしいんだッ」
「へー?そりゃまたどうして?」
「うう…だって、だって…風呂入る、だけなのにおれっ…」
「はーん。おれの身体見てムラムラするって?」
「〜〜ッ!!!」
「エッチだなぁ、キッド」
「ッ…んのォ…バカ!!!」

可愛いことを言う恋人をついからかうと、相変わらず真っ赤な顔ながら、指の隙間から覗かせた目をキッと吊り上げる。恋人が身を捻ったかと思うと、キュッ!と言うシャワーコックを捻る高い音に序で、直ぐにシャワーの雨が顔面目掛けて降りかかった。

「おわっ…!おまっ鼻と口にっ」

急な襲撃に対処仕切らず諸に報復を受けた。つんとする鼻の奥の痛みを堪えながら腕を掲げてシャワーのお湯を防ぐ。

「ふんっ」
「フフ…そう機嫌悪くするな。別に悪いことじゃねェんだから恥ずかしがるなよ」
「絶対からかうと思ったんだッ」
「そりゃなァ…」

おれの身体を見るのが恥ずかしくて入浴剤で隠す、なんて…そんな可愛いこと聞いたらからかわずにはいられないだろう。

「バカ!ローのへんたい!すけべヒゲ!」
「あっはっはっは!すけべヒゲとは言ってくれるなァ、キッド」
「わあっ!な、なに…っ」
「それじゃあ、ご期待通りのすけべなことしてやるよ…ちゃんと、そこに掴まっとけよ?」
「え…ひゃあっ!?」

力の差に物を言わせ、恋人を引っ張ると浴槽の淵に掴まらせる。おれに尻を突き出す格好の恋人の胴を片腕で抱き、未だザァザァと勢いよくお湯を吐き出すシャワーヘッドを手に取った。
そして、肩幅の倍は開いた足の間で緩く勃起して触られるのを待っているまだ未熟な性器にシャワーの水圧を当ててやる。

「んぁああ!いたい…!やぁっこれやだっ!ぅやぁあっ」
「痛いだけじゃないだろ…こことかこうすると気持ちいんじゃないか?」

袋や幹の裏側をなぞる様にシャワーヘッドを往復させる。敏感で薄い皮膚の表面を細かく強い水圧で叩かれて痛みを感じているようだが、その強い刺激で性器はむくむくと育っていた。

「んくっ…!ふっ、ふっ…んぅ〜!!」
「声、我慢するな…聞かせろよ。どこに当てられるのが気持ちい?キッド…教えて?」
「はぁっ、はーっ、ひんっ…あぅ…ろ、…そこっそこやらっ…やらってぇ…!」
「んー?でもキッドはここんとこ指とか舌でされるの大好きだろ…嘘言うなよ」
「あーっ!あっ、ほんっとに…ッ…そこ、やめてっ、おねが…ろーっ!」

耳に直接、息と言葉を吹き入れれば腰を震わせて仰け反る。開きっぱなし、喘ぎっぱなしの口からは涎を垂らし、汗や涙が伝う頬は真っ赤に熟れていた。まだまだ丸みの残る輪郭に色情が浮かび上がりおれの方が惑わされ狂わされているような気さえする。

「やっやぁっ…たすけてっ…いやっ、やうっ…はうぅ…っ」
「いつでもイっていいんだぞ…我慢しろなんて言ってないだろ?」
「ああっ…は…んぅ…め、だ…め…イけな…イけねぇよぉ…っ」

ぽろぽろと涙を流しながらもどかしげに足踏みをする。へたり込みそうなのを耐えているのか、落ちそうな膝は内股になり、活きの良かった喘ぎはすすり泣くようなものに変わりつつあった。
丸く、ここだけは肉の付きが良い尻を撫で、狭間に指を滑らせる。ひくひくと誘うように動いているそこに、唾液を塗した指を差し込み抜き差しをした。慣れた行為に窄まりは直ぐに順応し二本目の指も難なく咥えこむ。

「ひゃんっ!んんっ…あ、…も、…はなしてっ!…これ、はなしてぇ…やだぁっ…」

前も後ろも刺激が強すぎるらしく、とうとう駄々をこねるように泣き始めた恋人の横顔に負けた。謝罪を込めたキスをして、当てていたシャワーを放しお湯を止める。煩いほどだった水の音が止み、恋人の洗い呼吸音が熱気の籠った浴室に響く。

「はァ…はぁ…っ…ふ……も、立てな…」
「ほら、支えててやるから凭れかかれよ」

胸元に手を添えて抱き支えながら立たせたまま後孔をほぐす。粘膜の濡れた音が鳴り響き、恋人の甘い喘ぎが重なった。

「キッド、こっち向いて…抱っこだ」
「ん…ロー…早く…いたい…」
「ああ、悪い悪い…ふふ。目が溶けて無くなりそうだな?」

首に抱きつく恋人を抱き上げて、両足を腰に絡めさせた。痛いと訴えている性器は絶頂に達せないもどかしさに震えている。
抱っこ人形のようにしがみ付く恋人の背を撫で叩き、涙でぼやけた目元に何度もキスをする。汗や涙のしょっぱさが舌に広がった。

「シャワーは良くなかったか?」
「ン…強すぎて、ジンジンする…あれ、もうやだ…っあ、ん…ぅ」

抱えた尻を自身の猛りの上に下ろしていく。恋人自身がうまく後孔でおれを飲み込む方法を知っているので、ほぐして蕩けた孔に楽に収まった。
順応の良さはまだ子供故か、おれの教えの賜物か…どっちもだろうな。

「はー…」
「ふぅ…ああ、久々だ…疲れが取れていく気がするな…」
「…ばか……」

きゅう、と締まる後孔と抱きつく腕に愛しさが込みあがる。首周りや、頬や顎に押し付けられる唇や舌を感じながらゆっくりと体内を突き上げ、恋人の身体を揺さぶった。




「ロ、ぉ…!も、でちゃうっ…あうっ…ひぅうっ」
「ん、いいぞ…おれも、中に出していいか?」
「ん!ん!いいっ…んんぅーっ!」
「ッ…ン……ハァ…」

冷たいタイルの壁に恋人の背を押し付けながら、根本まで押し込んだ先で溜りに溜まった精を吐き出す。恋人の首筋に顔を埋め、荒げた自分の吐息や恋人の身体の火照りでのぼせそうだ。
腰に絡む太腿が、絶頂に達した余韻でヒクヒクと痙攣しているのを感じながらゆっくりと腰を下ろし、恋人を抱いたままタイルに座り込む。

「熱いな…のぼせてないか?」
「ん…だいじょーぶ……はぁ…はぁ……ろー…キス、する…」
「ン…」

濡れて、頬に張り付く髪を掻き上げてやりながら情交後の満足しきった幼い顔を覗き込むと、キスをせがまれ、抱きつく腕に頭を引き寄せられる。
求められるまま、息の落ち着くまでまどろみそうなほどのキスを楽しんだ。







「んー!疲れたぁ…ッ」
「キッド、水飲めよ…脱水症状起こすぞ」

汗に塗れた身体を洗い、長い風呂を終えると冷房を効かせた部屋が酷く心地よかった。寝室も抜かりなく冷やしてあったので快適だ。腰が立たないと言うおれの王子様をバスタオルに包んで丁寧に水気を拭いてやり、抱き上げてお連れした寝室のベッドに裸のまま放ってやった。
スプリングの効いたベッドに身体を跳ねさせ、俯せに突っ伏した格好のまま落ち着いている。
恋人のすっぽんぽんのままでいる姿が羨ましかったが、おれが裸でいれば王子様がうるさいのでさっさと寝間着に身を包んだ。そう言えばおれが裸でいるのを嫌っていたのは、風呂の入浴剤同様の理由だろうと思うとまたからかいたくなった。

「んー」
「ほら、起きろ…それとも飲ませようか?」
「…ちょーだい」
「…、やれやれ」

軽く尻を叩いてやるとぺちりと可愛い音がした。仰向けに身体を転がして、含んだ水を口移しで飲ませてやる。

「…んく…。ふー…生き返る…」
「フフ…。ほら、あとは自分で飲みな…アイスもあるぞ?」
「んっ、んく……んー、食いたいけど、いらねェ……眠ぃや…」

コシコシと目を擦り、飲みかけのコップをおれに押し付ける。とろりと眠気をまとった目がゆっくり瞬きし、明かりがまぶしそうにしていた。

「寝るのはかまわねェが、その格好で寝るつもりか?かわいいチンチンとお尻が風邪引いちまうぞ」
「ひかねェよバカ…あほ…すけべヒゲぇ…」
「ほう…また泣かされるまで嫌なことされたいみたいだな」
「いや」
「もう許しません」
「いやだって…あはっ、ふふっ…それ、あははっ」
「ふふ、どうだ?」
「いたっ、んん!んーっ、ふふふっ」

眠気をまとう恋人の、まずは腹あたりに顎に生えたヒゲを擦り付ける。ざりざりとじょりじょりとくすぐってやると足をバタつかせながら身を捩り、擽ったそうな笑い声が上がる。
胸元や、太腿の内側、足の裏、尻、背中…と全身を髭で摩ってやり、最後は頬にすり寄せてキスをした。

「ふふ…くすぐったかった…」
「嫌だったか?」
「へへ…ヤじゃない…ローのひげ、すき…」

間延びした声とちゅ、と顎に贈られたキスに呆けてしまった。
いつもおれを悩ませる悪い口は、先に寝てしまったらしかった。たまに、こうして素直にされると驚かされる。

「……おやすみ。キッド」
「ん…おやすみ」
「…キッド」
「…ぅー…?」
「愛してる」
「…ん。」

表情を綻ばせながら、すぅ…と深く、ゆうるりとした呼吸で夢の中に落ちて行った恋人を見届けおれは口元だけで笑った。
可愛い寝顔を見ていると、誘われるように眠くなってくる。頬をつついても気づくことのない恋人にパンツだけ穿かせて寝冷えしないように薄い布団を掛けてやる。照明を落とし、隣に寝転ぶといよいよ瞼が重くなった。
恋人を苦しくない程度に腕の中に抱きこんで目を閉じる。自身の寝つきの悪さが嘘のようにスッと闇が下りてきた。

明日は存分に寝過ごして、目が覚めた時間に起きだそう。
恋人がまだ寝たいというなら、2度寝だって3度寝だってする。どこか行きたいというならどこへだって連れて行こう。

胸元にすりよってきた温もりを最後に感じ、おれは深い眠りに落ちて行った。







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ハニー・ハグの設定と同じです。
中1、2くらいのキッドくん。このキッドは甘やかされてそんなに捻くれないように育てられてるので可愛いまんまに育つ、はず。
めちゃくちゃ甘くて子供だなぁって言うキッドが書きたくて書いてみました。
因みに、このキッドくんの父親は鰐、桃鳥、鷹の目の3人です。
連載にしたかったけど目途が立ちませんでした。
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