5階建て1階につき2部屋。最寄りのバス停徒歩3分、最寄りの駅まで自転車10分。
エレベーターなんて便利なもはないそれなりな感じのアパート……その、4階。



例年よりも少し暖かな春の日和の続く今日この頃。起き抜けに、狭いベランダへ続く窓の鍵を開けることが日課になってそろそろ一年が過ぎた。

「ふぁ…」
「よう、おはようユースタス屋」
「おう。早ぇな今日は…って、お前寝てねぇだろ」
「…なんでわかった?」
「眠くなさそうな顔してっから」
「眠そうな顔、じゃなくてか?」
「お前の寝起きの顔は寝る前より眠そうなんだよ」
「なんと…」

ベランダの間仕切りを越えてやってくるトラファルガーを見て、俺は一日の始まりを感じる辺りもう随分とこいつに毒されているんだろう。

「本でも読んでたのか?」
「あぁ。ペンギンに勧められた恋愛小説…」
「…似合わねぇな」
「どっちが?」
「ギリギリ、ペンギンが」

パンの焼ける匂いと、ベーコンと卵が焼ける音。
他愛ない話をしながら



「あ、チョコレートのジャムねぇや」
「え」



相も変わらず

いつも隣りに




(マーガリンで我慢しろ)
(…なぁユースタス屋…板チョコあったよな?)
(面倒くせぇこと言うんじゃねぇよ)




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シリーズ2作目とは中々におもしろく無くなると言う定評がありますが、寛大な御心と長い目を持ってお付き合い頂ければこれ幸いです!


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