昨夜からくしゃみが止まらず朝起きた時はなんだか頭が重いような気がした。
それでも何となく起きてしまったし、登校準備もしてしまったから母親の作った朝飯を食って、いつもの時間に家を出たつもりだったのに乗った電車はいつも乗る電車より2本遅かった。

(最悪…)

すし詰めの車内、気持ち悪い程濁った空気が暖房で温まってかなり不快だ。普段なら持ってるiPodは充電したまま家に忘れて来た為に気も紛らわす物が無い。
前も後ろも横も人がいて荷物や肘でつつかれるし、それに…何処の親爺だろうか、急な寒波から慌てて出したんだろう冬物がナフタリンの臭いをばら蒔いて揺れる電車と共に朝飯をしっかり食った俺の胃内容を掻き乱す。
重かった頭も不快な暑さと臭いでこめかみがズキズキと疼き右耳がキーンと鳴り始めた。
(ゥ、あ…吐く…)
ひぐっ、と喉が引きつってバクバク動く心臓が苦しい。
深呼吸でもして落ち着きたいところだがこの濁った空気しかない車内では気が引けると言うか出来るだけ体内に取り入れたくない。
「…く、」
「大丈夫か?」
「ぇ…う……?」
「待て、もう少し我慢しろ…ほら」
不意に声を掛けられ肩を擦られた。電車は止ったようで俺は身体を支えられ降りる人の波に乗りその誰かによって外に連れ出された。
「〜…っは…」
「気ィ抜くな」
冷たいカラリと乾いた外の空気に汗が冷やされる。切羽詰まった吐き気は止んだが半ば抱えられ駅のトイレに押し込まれた。
「あ、や…もう、だいじょーぶっす…」
個室までわざわざ付いて来てくれた見ず知らずの人に、有り難いと思うが流石にここまで介抱して貰うのは気が引けた。暫くじっとしていれば吐き気も引っ込みそうだし、とその旨を伝えようと顔を上げる。
「え…う…!?」
すると顎を掴まれてくにゃりと唇を重ねられた。吐き気で唾液の溜まる口腔に知らない同性の舌が這い回って上顎をその形に沿って舐められる。
「ッく…!ングッ、ン"、ェ"…!」
せっかく落ち着いた胃痙攣が始り嗚咽にヒクヒクと喉が上ずった。生暖かい舌が気持ち悪い、口から零れた唾液がつーっと冷えて行く様が気持ち悪い。
「ひっ、ヒ、ぅ゛…んん゛…ぉえっ!ゲホッ!げぇっ、ごほっ」
嘔吐きながら何とか顔を背けると粘度の高い唾液を洋式の便器に吐き付けることになった。唇から糸を引き垂らしながら腰を折って引っ切り無しに嘔吐く。
「うっ…げっ、げぇっ」
「なかなか出ねぇなァ…」
「ひ、っ…ぁ…なにっ」
「俺か?フフ…お前の尻、ずっと触ってたんだが…気に付かなかったか?」
「は…?…あ、え?尻……」
「まぁいい、…ほら、吐いてもいいから便器の方ちゃんと向いてろよ?」
背後から抱き付かれ巻いてたマフラーを取られる。車内で尻に触れていたのは荷物か何かと思っていたのだが、まさか故意に触られていたなんて…1度に様々な事が起きて考えが追い付かない。
今も、男の手が俺の腹部に回りカチャカチャと簡単にベルトを外している。
「……っ、あ…ちょっやめっ」
「静かにしてないと人が来るぜ?朝から腹を下した奴がいるかもしれねぇからな」
ジィー、とファスナーの音がしたと思えばスラックスがベルトの重みでストンと足首まで落ちる。
「あ…ぁ…」
「震えてんな…寒いか?それとも怖い?」
「ふっ…ッ、ン…」
そんなの"どっちも"だった。タイル張りトイレは足元から冷えるし知らない男がキスはしてくるわズボンは脱がすわ、むき出しの足を撫でるし脱がされなかった上着の裾から手を突っ込んで腹を擦って胸まで這う手が怖くない訳が無い。
「ぃ…アッ…!?」
「ん?ふふ…良い声出すなぁ…お前。摘まれるのが好きか?」
「ちが…ァ、コワっ…い……だ…イヤだぁ…っ」
胸を探る手が確実に突起を摘んで指先を擦り合せる様に加減した力で捻り潰してくる。むずむずした痛いのか何なのか解らない刺激が腰の辺りをざわつかせるし、頭は痛いし動悸はするし気分は悪くなる一方だ。
「うぇ…ひっく…ずっ…ぐずっ」
「落ち着け落ち着け…風邪引いてる時に災難だなお前も」
「は…ずずっ…か、ぜ……?」
「自覚ねぇか?多分熱もあるぜ、お前…」
「ぅ…アタマ…いた…くて…ハァ…あっ…なんっで…うー…ぅ"う…」
「そんな日に痴漢に合うなんてなァ…同情はしねぇけどな…フフ。俺はラッキーだった」
そんなつもりはないのに緩んだ涙腺から涙が滲んで鼻水が垂れ無性に泣きじゃくりたくなってくる。そして自称痴漢だと言う男に下着を引っ張られ太腿まで脱がされた。
「なん、でっ…ぬがす…」
「エッチしたいから」
「え?や…だァ…なんで…ひぐっ…ぐじゅっ…ぬ、がすんだよっ…なんで…」
「おいおい…大丈夫か?熱でわけわかんなくなってんだろお前」
「ぅー…しらなっ…うぇっ…なんっで…ケフッ…ぅ…」
「おい、吐くなら便器の中に吐けよ?片付け面倒だからな」
「えぅっ…ン!?…ふ、んぐ…んっ」
「指舐めて…唾しっかり絡めてな」
「う?ん…ふ、は…んん、くちゅっ…」
かぷっ、と口の中に入って来た2本の指。耳元で優しい声で促されてつい従ってしまう。指は長くて、爪はちゃんと切られてて骨張ってた。
キンキン耳鳴りがする中で息と共に吹き込まれる声がもう良いと言うから自然と口が開いてだらだらと唾液が落ちて行く。自分の口と男の指が糸で繋がってるのが見えた。
「息吸ってみ?」
「?…スー…」
「はいて。…もっかい」
「はー…スー、…はー…」
「落ち着いたな?」
「…ん…」
「良い子だ…ここに手ェ突いて。ゆっくり息してろ」
唾液に濡れて無い方の手が胸をとんとんと叩き俺はボーッとする頭で従った。なんか違う気がするが何が違うのかも分らない…
「ンッ?」
「冷たかったか?…大丈夫だ。気にするな」
「…?…な、そこ…え?ソ、コ…ぁ、あっ…?」
「あぁ、そう言えば…名前は?」
「ひ、ぁ…ん〜っ…き、ッド……」
「キッド?」
「ん、んっ」
尻に冷たい何かが這ってもぞもぞ動いてる。何をするのか分らないが絶対穴に触れられている事は分かった。ぬるぬるの指?が穴の回りを撫でて、なんでそんなところを触るんだと聞きたかったのに逆に名前を聞かれてしかもそれに答えてしまった。
繰り返すように名を呼ばれて肯定すべく何度か頷く。
「キッド…俺は、ローだ」
「…あ、ロー…?」
「そう。出来れば忘れないで欲しいな」
「ろ…ぅ、あっ!…いたっ、痛い…ロー、いてぇ…っ」
「大丈夫…我慢できるだろ?我慢して気持ちいいって言ってみな」
「い!…やぁ…痛い、いたい…っ…ロー、きもちわるいっ…いたい」
「痛くない…気持ち良いだろ?なぁキッド…気持ち良いって言えよ。したら早く終わるから」
「ずずっ…ハァっ…ぁ…き、もちぃ…?…きもち、いい…っ」
信じられないことに男は…ローは穴の中に指を入れて来てぴりぴりした痛みと変な感触に俺は驚いた。痛いと言ってるのに止めてくれないし、入れた指を曲げたり抜こうとしたりする度に不快感が襲ってきてどうにかなりそうだ。
「うぐっ…や、め…汚いっ…ひぁっ…でるっ…」
「出ない出ない。出ないから心配すんな」
排泄することにしか使うことのない穴に節の浮いた指が行き来するとどうしても排泄しているとしか思えないような気分になってくる。特に指を引き出す時には排泄感が強くて不安になった。
「ッ、アァ"ッ!?」
「…ここら辺か?」
「ヒッ!あっ…むぐ、ム、ぅ…」
「ちょっと、静かにな…」
いつの間にか2本の指を突っ込まれた尻の穴の奥。ローが探るように動かした指がある一点に触れた瞬間身体が引きつった。無意識に声が出て腰を引くとローの指が更に穴を探ってそこをやんわりと押し上げる。
「ッ!〜!!」
「見つけた。お前のイイところはここだな…」
「はっ……ぁ、あっ…」
ヌチュッ、と音を立てて指が引き出され自分でも穴がヒク付いてるのがわかる。まだ何か中に入ってるような気がして心地が悪い。
「尻が揺れてるぜ?欲しいか?」
「っあ…はぁ…なに、を?」
「ふふ…あぁ、顔が真っ赤だな…熱も凄い。辛いか?」
「はァ…はぁ…つら…」

「でもお前のチンコ、ちゃんと勃起してるからまだ平気だろ?」
「う、そ…」
「本当。ほら…尻が気持ち良かったんだろ?汁も垂らしてこんなにベトベトだ」
「あ…ふ、…はぁ…んっ…あっあっふぅ!うあぁ…っ」
「チンコも気持ち良くしてやらねぇとな…」
いつの間にか垂らしてた先走りを先に塗り広げヌルつく頭を掌でコネ回すなんて今まで自分でもやったことがなくて初めての気持ち良さについ目を閉じて快感を追って行く。
そして根本から先迄ゆっくり擦られ、そうと思えば激しく動く手に翻弄されて意識は射精することに目一杯傾いた時だった。
尻の間に熱いナニかが押しつけられてぐいぐいと割り開いて入ってくる
「ひっ…あっあっ!なっ、無理っなに!?い、いだっ!イィ"!」
メリメリと穴をこじ開け太くて熱いのが身体を押し上げる。貯水タンクに凭れながら爪先立ちになり逃げようとする身体をローは腰を掴んでそれを許してくれない。
ぐいっと腰を引きつけられズルン!と滑り込んで来た熱い棒に尻の穴が焼け爛れそうだ。
「あ゛ぁーっ…いだいっ!…いたいぃ!…う…ぁ…ひィっ…」
「よしよし…悪かった。もう痛くしねぇからな…」
「ひっく…ぅえ…いてぇ…いや、だァ…!…ぬいてっ…ぬけよぉっ」
「それはダメだ…今抜くともっと痛い思いするぜ?もう絶対痛くしねぇから落ち着こうな」
ギュッと抱き締められて萎え掛けて俺自身をまた優しく擦りやわやわと揉みしだく。
酷い痛みに涙がボタボタ落ちて鼻水が垂れ便器や制服の上着やシャツに水溜まりや染みを作っていた。
しゃくり上げるとまた胸をとんとんと叩かれて耳元に柔らかいものが触れた。
「…、…?」
「どうした?」
ちゅっ、と耳朶が吸われてやっとさっきからしていた柔らかい物の正体がローの唇だとわかる。
「ん、ッ…」
「勃ってきたな…気持ち良くなってきただろ?」
「っ…ちがっ…」
「嘘つくなよ…お前の尻もヒクヒクして俺の締め付けてるぜ?」
「…ロー、の…?」
「俺のチンコだぜ?お前の尻に入ってんの」
熱い棒を咥え込む穴の縁をローの指がつつ、と触れてビクリと反射的に尻に力を入れるとローが「ん、」と低く声を漏らした。
「はぁ…お前の中、熱くてキツて気持ち良い」
「あっ…ぅ、ごくな…!」
「もう十分待ってやったろ?痛みも忘れちまってんだろうが」
「う、うっ…ひう!」
「な?ここがお前の気持ちいいところだ…覚えろよ。病み付きになる」
「はぁ!あっん!」
指でされた時と同じように中の奇妙な場所を突かれて堪らずにもがくと空いた手で口を塞がれ、その場所をしつこく突き上げられた。
「ん゛ー!ん゛ぅー!!ぐ…ぅ!んん!ンッ、んぅ!」
「はっはっ…っ、…」
「ぁぐ…ッ!ッ!」
「…吐きそ、か?」
口を塞がれ酸欠状態になって酷い頭痛がする上にがつがつと腹を突き上げられ胃の中がひっくり返りそうだと思ったら口腔に唾液が溢れてローの手に伝い出した。
ヒクヒクと喉を嘔吐かせると気付いたローが口から手を放す。
「え"うっ…エ゛ッ…ゲェッ!ハァッ…ゥ"…オェッ」
「気にせず吐け…ハァッ…よしよし…上手だな」
ゴボゴボと何度も嘔吐するとローが背を擦ってくれたが突き上げるのは止めずに更に腹の中を掻き回そうとする。
「えぐっ…ぅえエ゛ッ…ゲホッ…ぅ゛う…う゛ぐ…」
「は、はぁっ…はっ」
吐いて力むのを繰り返すとどうやら尻の締まり具合も良くなるようでローはそれに息を弾ませていた。
「かはっ…はっ…ヒューッ…」
「ふ…全部、でたか?」
「ぅ…ひっく…」
「泣くな…スッキリしただろ」
全て胃の中の物を出し切るとローが水を流し、渦を巻いて吐瀉物は吸い込まれて行く。
しかし休む間も無く抜き差しされるローの熱いアレと俺自身を擦る掌に熱は上がる一方だ。

「吐いてスッキリして、チンコすげぇ張ってきたな…」
「んんっ…ローっ」
「我慢せずに出せよ…俺も、お前の中に出すから」
「はっはっ!あぅ…ッ…あ!いっ…く…!」
「っ…!」
「んくっあ…も、出なっ!でないっ」
ビュルッビュルッ、と尻を突かれる度に尿道から白濁とした精液が飛び散って便器のフタや自分の腹を汚す。イッた後、なおもシゴかれて残滓まで絞り出されるとやっと解放された気がした。
腹の中にじんわりと広がる熱にローも中に出したんだと分り、へたりこみそうになる。
「あっ…ぅ」
「はぁ…は…キッド」
「も、やだ…イヤ…」
「もうしねぇよ…抜くだけ」
「ッ…は」
ヌポッと栓が抜けたような音と共にロー自身が抜け去り圧迫感が無くなる。まだ何か挟まっているような感じがするのは相変わらずだが思わず溜め息が出た。
「ん!」
「掻き出すだけだ…俺の出したのが溜まってるだろ?」
「その、ままでっいい…」
「ほっとくと腹下すぞ?ちょっとだけだから」
弛緩してボーッとしていると再び尻に触れられて身体が強張った。
事後処理をするだけだと約束したローが丁寧に中を掻き出す指の動きに身体をくねらせることにはなったが疲れか、本気で気分が悪くなってきたからなのかわからないが勃起はせずに済んだ。


「ずっ…」
「ひでぇ顔だな…ほら、鼻取れよ」
その後、中も綺麗にして貰い、俺が飛び散らせた飛沫もローが拭き上げた便器に座らされていた。
身体は怠いし頭はガンガン痛むしとにかく眠たい。
半分以上がこのローと言う痴漢男の所為なのだがそれを構う気力さえ残ってなかった。
「ほら、鼻取れって」
「ぅ゛ー…」涙と鼻水で汚れた顔を自分でどうしようも出来ない俺にローは困った顔をしながら代わりに鼻水を取り濡らしたハンカチで顔を拭ってくれた。
「さむ…」
「さっきまで顔は赤かったんだかな…青ざめてきた」
「アタマいてぇ…くずっ」
「おい…泣くなよ。もっと痛むぞ?」
「はっくしゅ!」
「うわ…鼻拭け、ハナ…」
「ねむい…」
しっかり制服を元通りに着せられマフラーも巻いて貰った。本来ならここまでされる前に逃げるべきなんだろうけど俺には立つことも難しくて訳も分らずぐずぐす泣くしか無かった。
「…おいで、キッド」
「はあ…?」
「帰るぞ。タクシー拾うから俺ん家に来い」
「へん、なことすんだろ」
「しねぇしねぇ。ほら立て」
ふらつく足取りで立ち上がりローに凭れ掛かった。




「ッ!」
目を覚ますと蒸し暑いのに身体の芯が酷く寒くて汗まみれだった。
「起きたか?」
「お前っ…!」
見知らぬ天井に柔らかい布団。それに、夢では無い…見覚えのある顔が目の前に居る。
ニタリと笑う男の顔を漸くはっきり見た気がした。






------
ナフタリンの臭いって殺人的だと思う。ユースタスくんの災難でした
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -